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ただ過ごしていると集団は高齢化する

写真作者:Quinn Dombrowski

集団は、2人以上の人によってなりたつもの。よって、すべての集団には平均年齢がかならずあるはずです。そしてその平均年齢は、学校のように入退についての決まりがないかぎり、時の移ろいとともに変わっていくものです。

身のまわりではどうでしょうか。なにかしらの集団を考えたとき、その集団では「高齢化」が進んでいるでしょうか。それとも「若齢化」が進んでいるでしょうか。

たいてい高齢化が進む向きがあるのではないでしょうか。たしかに、日本の人口全体で高齢化が進んでいるため、その集団もおなじように高齢化が進むということは考えられます。けれども、人口全体の高齢化の速度よりも増して、身近な組織で高齢化が進んでやいないでしょうか。

集団の高齢化が進んでいるとすれば、そこには「なじみの面子は面倒でない」の意識がはたらいているのかもしれません。

知りあいどうしは、長く過ごせば過ごすほど、より知りあいになっていきます。いつも会っている知りあい連中と会うほうが、考えかたがちがったり、どんな考えかたかわからない連中と新たに知りあうよりも、面倒なことにはなりづらい。きのうもきょうも会った人と、あすも会う。これを続けているうちに、知りあいどうしの年齢は高まっていき、高齢化が進むわけです。

集団に入る側の人からしても、知りあいでない人たちのなかに自分自身が入っていくことは、よほどの利点や目的がないかぎり、なかなか勇気のいることです。つねに出会いを求めている人や、好奇心旺盛な人はべつかもしれませんが。

集団の高齢化を進めさせない手だてのひとつとして、「その集団の平均年齢より若い人を多くとり込む」ということが考えられます。しかし、これは意識的かつ積極的にしつづけないと、なかなか実現しないものでしょう。放っておいたら高齢化していく状況に歯止めをかけようとしたら、定期的なペースで確実に若い人に集団に入ってもらわなければなりません。

集団の若齢化が自然と進むということは、ふつうは起こりづらいものです。「組織の若がえり」ということばがよく使われるのは、一気にそれをやらないと実現しづらいものだからでしょう。

そもそも「集団が高齢化することは悪いことなのか」といった論点もあります。流れに身を任せているなかで自然と集団の高齢化が進むのだから、その自然な流れを変える必要はない、自然に過ごしていればいい、という考えかたです。

この考えかたはもっともなもの。ただし、自然の流れのままに過ごしていると、どんどんその集団は高齢化していきます。そして、そのメンバーがつぎつぎと寿命を迎え、「そしてだれもいなくなった」という状況を招きかねません。

それでもよいのか、それではよくないのかは、「その集団がなんのためにあるのか」にかかってきそうです。

自分や自分たちがその集団で過ごすことが目的であるならば、集団の高齢化が進んでもよいのかもしれません。その人が自分の寿命まで、その集団にいつづけられれば、それで満足なわけですから。

いっぽう、自分たちの志を後代に伝えていくことが目的であるならば、集団の高齢化が進むのはまずい状況です。「そしてだれもいなくなった」では、集団は続きませんから。

つきつめると、「なんのためにその集団はあるのか。自分や自分たちのためだけか。後代のためか」といったことが、根本的な分かれめになってきます。
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