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「楽業偕悦」を貫いて100年目

写真作者:Maia Valenzuela

1919年は、第一次世界大戦が終わった翌年。日本では、大正8年に当たります。

この年の11月、「食品工業」という会社が立ちあがりました。のちのキユーピー(キユーピー・アヲハタグループ)です。

会社設立の中心人物だったのが、中島董一郎(1883-1973)。中島は1912(大正元)年、農商務省の海外実業実習生として欧米に派遣され、このころにマヨネーズと出あったとされます。帰国後、缶詰を作って売る中島商店を立ちあげ、翌年に食品工業の立ちあげに加わりました。同社でマヨネーズが作られたのは1925(大正14)年とされます。

中島は、日ごろから「楽業偕悦」という考えを、口にしていたといいます。

「志をおなじくする人と業を楽しんで悦びをともにする、そこに仕事のやりがいがある」

このような意味が「楽業偕悦」には込められているといいます。「偕」というのは「ともに」といった意味をもつ字です。

「楽業偕悦」という4文字にはふくまれていないものの、「志をおなじくする人と」という部分には、会社(カンパニー)の存在意義の源を求めることができます。会社とは、「世でこれを実現したい」とおなじ志をもつ人たちが集まって、それを実現させていくもの。1人だけでは、実現できない、あるいは小さく終わってしまうため、2人、3人、4人と会するわけです。

めざしているものがおなじであれば、その目標に向けて前進できることは、「業を楽しむこと」となり、「悦びをともにすること」ができるわけです。めざしているものがちがっていると、人によって「業」やその成功の捉えかたはちがってくるでしょう。すると「楽」の場面もちがってきてしまいます。

太平洋戦争後、「楽業偕悦」はキユーピーの社是となりました。しかし、この考えは戦前から徹底され、社風になっていたといいます。

100年にわたりつづく企業には、創業者の明らかで強い経営理念が貫かれているものです。

参考資料
キユーピー「理念」
https://www.kewpie.co.jp/company/corp/philosophy/index.html
島津淳子「創業企業家の道義的経営理念」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabes/21/0/21_KJ00009297181/_pdf/-char/ja
ウィキペディア「中島董一郎」
https://ja.wikipedia.org/wiki/中島董一郎
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