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2018年の科学の画期的成果、「失敗」は気候変動対策、ゲノム編集による赤ちゃん創造、博物館の焼失



米国科学振興協会(AAAS:American Association for the Advancement of Science)が雑誌『サイエンス』で発表した「2018年の科学における画期的成果」を見ています。


このところ同誌では、第1位と次点だけでなく「失敗」という括りを設けています。2018年は、昨2017年につづいて三つのできごとを「失敗」にとりあげています。

「気候変動災害は生じ、政治的行動は停まる」。日本でも2018年はさまざまな災害に見舞われましたが、世界の各地でも深刻な災害が生じました。米国や北欧での山火事、南欧での異常高温、北米でのハリケーンや東太平洋でのサイクロンなどです。2018年11月に出された全米気候評価報告書には「人が原因である気候変動の証拠は歴然としている」といった声明を出しました。いっぽうで、同誌は「世界がしなければならないことと、世界がしていることの差がより広がっている」と指摘。そして、米国のドナルド・トランプ大統領を名指しで「人が引きおこす気候変動の科学に論争を起こし、前任者が発効してきた気候関連の政策をもとに戻し、パリ協定から離脱した」と批判的に書いています。

「倫理をともなうゲノム編集の主張」。生きものの遺伝子の状態を人の手で改変する「ゲノム編集」がだんだんと世界で広まっていくなか、「失敗」に選ばれるできごとが起きました。中国の研究者が11月、「クリスパー」(CRISPR:Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)とよばれるゲノム編集技術を使ってエイズ耐性をもつ双子をつくったと主張したのです。事実だとすれば、遺伝子が改変された人類を生みだしたことになり、この点が問題になっています。仮に、この赤ちゃんが将来、子どもを産むとすると、改変された遺伝子が次世代にもひきつがれることになりますが、研究者たちのあいだにもこうした行為が許されるといった認識はありません。

「ブラジルの科学が焼失」。9月2日の夜、ブラジルのリオデジャネイロにあった200年の歴史をもつ国立博物館が火事で焼失しました。ここ何年も支援がなく、放っておかれた末のできごとです。同誌は、こうした状況はブラジルにかぎったことでなく、世界各国で「過去5年間で各国の科学当局が50パーセント以上の予算削減をおこない、2019年にはさらに10パーセントが追加されると見込まれる」としています。

2019年は、どのような1年になるでしょうか。

『サイエンス』2018年の科学における画期的成果と失敗を伝える記事はこちらです(英文)。
https://vis.sciencemag.org/breakthrough2018/finalists/#climate-policy

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