科学技術のアネクドート

<< さかのぼると、まず「前」つぎに「幹」 | main | 2018年の科学の画期的成果、第1位は「一細胞リボ核酸シーケンス法」の発展 >>
書評『医薬品業界で働く』
2018年11月下旬に出たばかりです。仕事や進路についての本を数多く手がけている、ぺりかん社から。

『医薬品業界で働く』池田亜希子著、ぺりかん社、2018年、154ページ


医薬品業界は、製薬会社などでの収入が高く、人びとへの貢献も大きい分野だ。人気も高いだろう。とはいえ、どんな仕事があって、どんな働きかたをしているのか、なかなかイメージのわきづらい分野でもある。

そんな医薬品業界での仕事の中身、また仕事に就くうえでの心がまえや知っておくとよい情報が多く書かれている。章立ては「医薬品業界を知ろう!」「医薬品を送り出すプロフェッショナル!」「医薬品業界を支える人たち」「なるにはコース」という4章でなる。

著者は、製薬会社の市販後調査(PMS:Post Marketing Surveillance)部門で勤務したことのあるサイエンスプロデューサー・ライター。自分の仕事の経験と、伝え手とした取材した成果とが、ともに本に活かされているのだろう。

くりかえし書かれているのは、法律や制度などで定められたしくみのもと、仕事が進められるということだ。

医薬品を作ったり売ったりするには「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」とい法律に定められた規制を守る必要がある。また、医薬品といっても「医療用」「要指導」「一般用」などと細かく分けられていて、ドラッグストアで買える一般用にも、薬剤師の説明が要るものもあれば、そうでないものもある。

安全性を保つためのしくみがまずあって、それを守りながら仕事を進めるという点は、この業界の特徴といえるだろう。

この業界で働いている人たちに取材して伝える「ドキュメント」では、製薬会社につとめる創薬研究者、医薬品開発者、医薬情報担当者(MR)、薬事担当者、安全性管理担当者たち、また厚生労働省につとめる審査調整官、それに医療機関につとめる病院薬剤師と、合わせて6人が登場する。

創薬研究者の「ふり出しにもどらなければいけないことをくり返した時期もありました」といった辛い経験や、医薬品開発者の「必要とされている医療を理解して、会社や医薬品業界がどういう方向へ向かうのがいいかを的確に判断できる人」をめざすといった仕事へのこころざしが語られる。こうした生の声は、この業界で働くことへの実感がともなっていて貴重だ。

著者は、医薬品業界に求められる適正・心構えは「誠実さ」と「社会に貢献したいという思い」だと書く。ドキュメントでの人びとの話や働きかたを通じて、このことを読者も実感できるだろう。

『医薬品業界で働く』はこちらでどうぞ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4831515213
| - | 20:32 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4827
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< June 2019 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE