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さかのぼると、まず「前」つぎに「幹」

神経細胞のつながり
画像作者:Ahmed Riyazi Mohamed

いまそこにあるものをさかのぼると、べつの姿をしたものにたどり着くかもしれません。しかし、たどり着いた先の姿がいくつかあれば、「どちらのほうがより根本にあるのか」といった疑問も起きてきます。

細胞の姿をさかのぼっていくときにも、もとの姿をあらわす細胞がいくつかあるため、より根本どちらかという問が生まれます。

たとえば、人のからだには、刺激を受けとったり、まわりの細胞に伝えたりする神経細胞という細胞があります。この神経細胞をたどっていくと、どんな細胞があるのでしょうか。

ひとつあるのは「神経前駆細胞」という細胞です。「前駆」は、もともと「先導すること」。また科学の分野では「前駆体」ということばがあり「ある物質よりも前の段階にある物質」をさします。これらからすると、神経前駆細胞は、神経細胞より前段階に生じて、神経細胞になることを先導するような細胞だという察しがつきます。

もうひとつあるのは「神経幹細胞」という細胞です。「幹」は、もともと「草木の中心部分」を示すもの。草木の幹は、枝や葉などをつける草木の中心部分です。そうしたことから「幹細胞」は、そのさき分化していく細胞のもととなる細胞のことを指します。

つまり、神経前駆細胞は神経細胞の前段階の細胞であり、神経幹細胞は神経細胞になっていく細胞のもとになる細胞を指すわけです。どちらも神経細胞をさかのぼった段階にある細胞です。

結局、「前」と「幹」では、どちらがより根本の段階にあるのか、といった話になります。神経細胞のような形づくられた細胞の「前」より「幹」のほうが、より根本にあるということになっています。

前駆細胞も幹細胞も、どちらも「さかのぼった段階にある細胞」であることでは通じています。そのため、記事などでは「神経幹/前駆細胞」といったように「幹」と「前駆」を併記することもあります。「神経前駆/幹細胞」のように順番が逆になっている表現もあるものの、これは少数派。発生の順番を意識すると「神経幹/前駆細胞」となるわけです。

参考資料
三省堂大辞典「幹細胞」
https://www.weblio.jp/content/幹細胞
デジタル大辞泉「幹細胞」
https://kotobank.jp/word/幹細胞-185300
デジタル大辞泉「前駆細胞」
https://kotobank.jp/word/前駆細胞-668094
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