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長野五輪で原田選手の口から漏れた音は「はぁ、はぁ、はぁ、ふなきっ、はゎ、はぁ」

写真作者:しんかわな

人は、記憶に残っている場面を思いだすたびに、その像を自分のなかで強くさせていくものかもしれません。運動競技の中継などでの興奮する場面ではなおさらのことです。

「ふぅなき〜!」
「ふなき〜!」
「ふなきぃ〜」

これらは、1998年2月に長野県の白馬ジャンプ競技場で開かれた長野五輪ジャンプ・ラージヒル団体競技における、原田雅彦選手の船木和喜選手に対する、心の叫びを文字に表したものとされます。

この競技は、各国代表選手4人によるそれぞれ2本の試技の合計得点であらそわれるもの。原田選手は日本代表3人目の選手として出場し、1本目の試技では期待をはるかに下まわる成績を記録したものの、2本目の試技では高得点を出しました。あとは4人目の船木和喜選手の試技での成功を祈るだけ。そのとき、原田選手の口からは、船木選手をただただ祈る声が口から漏れたのでした。

原田選手は長野五輪のひとつ前のリレハンメル五輪の団体戦で、2本目のジャンプに失敗し、チームは金メダルをとれず、銀メダルをとることになりました。そうした思い出が長野五輪の団体戦でもよぎったのかもしれません。しかし、長野五輪では、1本目の不調をみずから打ちやぶり、2本目の試技で大ジャンプを見せたのでした。

さて、原田選手の祈り声は、きちんと記録されており、ユーチューブの動画で聴くことができます。あらためて、その心の叫びを聞いてみると、どうきこえるでしょうか。

船木選手に対する心の叫びの前に、原田選手は3回「はぁ」と息とも声ともとれぬような音を口から漏らしています。その音は、マイクロフォンでとれるかどうかという小さいもの。

そして、「はぁ、はぁ、はぁ」という3回つづくごく小さな音のあと、おなじ律動、そしておなじぐらいの小さな音で、口からこう出てくるのでした。

「ふなきっ」

そして、「はぁ、はぁ、はぁ、ふなきっ」のあとも、おなじ律動、そしておなじ小さな音で「はゎ、はぁ」と2回、息とも声ともとれぬような音を口から漏らしています。

映像の音声を文字で表すと、つぎのように聞こえます。

「はぁ、はぁ、はぁ、ふなきっ、はゎ、はぁ」

この音声つきの映像からすると、原田選手は息とも声ともとれぬような「はぁ」という音の漏れを連続させるなかで、一度「はぁ」のかわりに「ふなきっ」と漏らしたようにとれます。この映像の前後も、原田選手の口から「はぁ」という音は漏れていたかもしれませんが……。

「ふぅなき〜!」でも「ふなき〜!」でも「ふなきぃ〜」でもない「ふなきっ」という小さな声がマイクロフォンを通して原田選手から聞こえてきます。

しかし、原田選手から出てきたその音は、多くの人びとに、とても大きな叫び声として聞こえたのでしょう。

原田選手の思いが届いたのか、船木選手は2本目の試技に成功しました。日本は金メダルをとりました。

参考資料
ユーチューブ「98長野五輪スキージャンプ団体 感動の金メダル」
https://www.youtube.com/watch?v=7rtuOyEypDo
ウィキペディア「1998年長野オリンピックのスキージャンプ競技」
https://ja.wikipedia.org/wiki/1998年長野オリンピックのスキージャンプ競技
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