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「犬も歩けば棒に当たる」認知度は高いが理解度は……

写真所蔵者:The Library of Congress

「いろはにほへと……」の頭文字に「京」の1字を加えて、それぞれを首字にしたことざわのかるたは「いろはがるた」として知られています。

いろはがるたは「いろは……」で始まるため、「い」を首字にしたかるたの認知度は高いものがあります。いろはがるたのうち「い」で始まるものは……。

「犬も歩けば棒に当たる」

このことわざの適当な1字だけを空白にして、埋めてもらう調査では、99.3パーセントの人が答えられたといいます。

いっぽう、「犬も歩けば棒に当たる」ということわざに対する理解はどれほどのものなのでしょうか。

ことばをそのまま捉えると、人とおなじように、イヌが歩いていると、棒に当たる、いったことになるでしょう。

歩いているイヌが棒に当たる、というのはどのような状況でしょうか。棒が壁かなにかにもたれかかっているところを、イヌが歩いてきて、その棒に触れたといった状況でしょうか。

それだと、わざわざことわざにして意味を見いだすまでもなさそうです。

このことわざでいう「棒に当たる」とは、「人に棒で殴られる」という意味であるという捉えかたがあります。

いまとちがって野良犬がそこいらを歩きまわっていた時代、人は犬をいつくしむという考えをさほどもっていなかったのでしょう。「あっちへいけ」と棒で殴るようなこともあったのかもしれません。

こうした状況から、「犬も歩けば棒に当たる」は、「ふらふら歩いている犬には、人に殴られる災いが起きうる」といった意味でとられ、「ものごとをしようとしている者にはおもいがけない災難がおきうる」「余計な行動をおこさないほうがよい」といった教えを示しているということです。

さらにその後、「犬も歩けば棒に当たる」は、「思いがけない幸運にあうこともありうる」といった意味でも捉えられるようになったといいます。

「棒に当たる」のことばどおりの意味と、「人に棒で殴られる」という意味のあいだには、かなりの隔たりがあります。さらに、このことが災難をあらわすだけでなく、幸運をあらわすものとして捉えられるようになったという、かなりの意味の移りかわりもあります。

こうしたことから、いろはがるたの代表的なことわざである「犬も歩けば棒に当たる」は、どのような意味か理解されづらいものになってしまっています。日常会話で「犬も歩けば棒に当たる」が使われることもあまりなさそうです。

参考資料
鄭芝淑「日本のことわざの認知度について」
https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/genbunronshu/30-2/jeong.pdf
故事ことわざ辞典「犬も歩けば棒に当たる」
http://kotowaza-allguide.com/i/inumoarukebabou.html
ウィキペディア「犬も歩けば棒に当たる」
https://ja.wiktionary.org/wiki/犬も歩けば棒に当たる
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