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結びついてはたらきを制御

写真作者:University of Michigan School for Environment and Sustainability

生きものの体の細胞には「リボ核酸」(RNA:RiboNucleic Acid)とよばれる高分子物質があります。たんぱく質を合成しているリボソームという物質をなす「リボソーム・リボ核酸」、たんぱく質の合成に直接的にかかわる「転移リボ核酸」など、リボ核酸にはさまざまな種類があります。

伝令リボ核酸は、たんぱく質を合成するための遺伝情報を写しとり伝えるリボ核酸です。遺伝情報を受けとった伝令リボ核酸は、細胞核の外側へと出て、リボソームにくっつきます。そこで、伝令リボ核酸のもっている遺伝情報にしたがって、特定のたんぱく質が合成されていきます。

この伝令リボ核酸の一連のはたらきは、ただ単に伝令リボ核酸そのものが自分で動いておこなわれるものではありません。

伝令リボ核酸が細胞核の外へ移っていくときには、ある種のたんぱく質が結合しています。これらは「リボ核酸結合たんぱく質」とよばれるもの。細胞核の内側などにあって、伝令リボ核酸と結合し、さまざまなはたらきをします。

たとえば、Musashiとよばれるリボ核酸結合たんぱく質は、トラムトラック伝令リボ核酸(Tramtrack mRNA)とよばれるリボ核酸と結合して、翻訳、つまりアミノ酸を配列して特定のたんぱく質をくみたてる過程を阻害するはたらきをもっています。このMusashiのはたらきで、モデル動物のショウジョウバエの毛は神経細胞となり、感覚器の一部になります。もし、Musashiたんぱく質をつくるための遺伝子に異常があると、神経細胞がつくられず、たんなる毛ができてしまいます。

ほかにも、リボ核酸結合たんぱく質は、リボ核酸から特定のたんぱく質がつくられるまでの過程のなかで、さまざまな役割を担っていることわかってきました。リボ核酸たんぱく質の種類はおよそ1500以上あるとも。研究者たちが考えていたよりも多くの種類があることがわかってきました。

参考資料
脳科学辞典「RNA結合タンパク質」
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/RNA結合タンパク質
MBLライフサイエンス「RNA結合タンパク質」
http://ruo.mbl.co.jp/bio/product/epigenetics/article/RNA-binding-proteins.html
片平じゅん「mRNA核外輸送複合体の形成機構」
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870075/data/index.html
ブリタニカ国際大百科事典「メッセンジャーRNA」
https://kotobank.jp/word/メッセンジャーRNA-141490
ウィキペディア「Musashi」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Musashi
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