科学技術のアネクドート

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STEAM教育の“A”は深くて広い

写真作者:State Farm

2020年以降、小学校、中学校、高校とあいついで、改訂される学習指導要領のもとでの授業がはじまっていきます。

新たな教育のありかたを教育関係者たちが模索するなかで「STEAM教育」の大切さが言われつづけています。“STEAM”は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとったもの。これらの分野を重点的かつ融合的に教育することで、児童や生徒たちの批判的思考力や課題解決力を養おうとする考えです。このブログでは2017年1月18日付の記事などで、STEAM教育についてとりあげてきました。

“STEAM”という考えが成立する過程では、「あとからArtが加わった」という経緯があります。従来、科学、技術、工学、数学という理工系の分野が重視され“STEM”とよばれていたところ、「芸術」が加わり“STEAM”とよばれるようになったわけです。

では、“A”が、美術や音楽といった意味での「芸術」なのかというと「それらも含まれるが、もっと広い概念をもつ」とよく指摘されます。

“Arts”ということばには、「科学とはべつに学べる対象」といった意味もふくまれます。たとえば、歴史、言語などの人文学は“Arts”の例とされます。どのようにその作品ないし文化が成立したのかの過程を追う行為までを含めて“Art”あるいは「芸術」とするといった考えがあります。

また、“Arts”は“Liberal Arts”(リベラルアーツ)でもあるとする考えかたもあります。もともと「リベラルアーツ」は、古代ギリシャにおける文法、修辞、論理、算術、幾何、天文、音楽を基本とする「人を自由にする学問」からきているもので、これらは「自由7科」とよばれていました。いま日本では、リベラルアーツをより広い意味で「一般教養」と捉えることも多くあります。

つまり、“STEM”のあとに加えられた“Art”ないし“Arts”は、理工系分野の“STEM”では補えない、広い役割を担わっているともいえそうです。“Science”(科学)も広い分野を対象としたものですが、ここでの“Art”(芸術)は深くて広い分野を対象とするものと捉えることもできます。

参考資料
文部科学省「今後の学習指導要領改訂スケジュール」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/29/1376580_3.pdf
ロングマン現代英英辞典「arts」
https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/arts
room 2412017年11月8日付 “Why the “A” in STEAM Education is Just As Important As Every Other Letter”
https://education.cu-portland.edu/blog/leaders-link/importance-of-arts-in-steam-education/
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