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長距離走者、グリコーゲンが頼みの綱

写真作者:Oskar Seljeskog

陸上競技のマラソンでは、2018年に入り、2月の東京マラソンで設楽悠太選手が2時間6分11秒の日本記録をうちたて、10月のシカゴマラソンで大迫傑選手がこれを上まわる2時間5分50秒をうちたてました。日本記録がつぎつぎ更新されています。

これまで、30キロメートル過ぎくらいからだんだんと失速し、足が止まってしまう選手が多かったなか、設楽選手も大迫選手も後半でさほど失速することなく、踏んばって走りきっているようです。

走っているマラソン選手の体内でのエネルギー源となっているのが、グリコーゲンです。ブドウ糖を材料としてつくられる多糖類とよばれる物質で、体内では肝臓のほか筋肉に多く貯えられています。

筋肉に貯えられているとはいってもグリコーゲンの量にはかぎりがあります。マラソンのような激しい運動では、体内のグリコーゲンが枯渇することもあり、これが「足が止まる」という状態をもたらします。体のエネルギー源はグリコーゲンのほか、血液中の脂肪や筋肉内の脂肪などもあるため、グリコーゲンが枯渇してもまったく動けなくなることはありませんが、競技中の運動選手にとってはグリコーゲンの枯渇は避けるべき状況といえそうです。

筋肉から減っていってしまったグリコーゲンの量を増やすには、体内でグリコーゲンをつくる物質の分泌量を増やすか、体外からグリコーゲンのもととなる材料を摂るかといったことになります。

グリコーゲンをつくりだす体内の物質はインスリンです。膵臓のβ細胞という細胞でつくられるホルモンで、ブドウ糖を筋肉にとりこむとともに、ブドウ糖からグリコーゲンを合成するはたらきも促します。

いっぽう、グリコーゲンのもととなる材料としては、おもに糖質が知られています。マラソンなどの有酸素運動で競技する選手たちは、意図的に筋肉のグリコーゲンを増やすため、試合前に糖質をたくさん貯えるために、運動によりグリコーゲンを一度枯渇させたあと、糖質をふくむ炭水化物食を1日3食とも摂るといった食事のしかたをします。

マラソンの試合中も、グリコーゲンのもととなる材料を摂りいれることができます。給水地点では、たんなる水分だけでなく、各選手のチームが用意した糖質をふくむ炭水化物などからなるスペシャルドリンクを飲むことで、減ってきたグリコーゲンの補給につとめるわけです。

なお、大迫選手は、2017年12月に出場した福岡国際マラソンをふりかえり、試合の前々日の夜はうなぎ、前日の夜はそばなど、そして当日の5時間ほど前にはカステラを食べたと証言しています。

参考資料
日刊スポーツ 2018年10月8日付「大迫傑、日本記録更新2時間5分50秒! 1億円ゲット」
https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201810070001082.html
デジタル大辞泉「グリコーゲン」
https://kotobank.jp/word/グリコーゲン-56758
佐賀市「運動によるエネルギー消費」
https://www.city.saga.lg.jp/site_files/file/usefiles/downloads/s30020_20111209014314.pdf
いいお医者さんネット「インスリンの働き」
http://www.e-oishasan.net/diabetes/insulin.html
健康用語Web辞典「グリコーゲンローディング法」
https://health.joyplot.com/HealthWordsWiki/?グリコーゲンローディング法
VAAM「インタビュー マラソン 大迫傑」
https://www.meiji.co.jp/sports/vaam/supporter/athlete_power/athletics/
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