科学技術のアネクドート

<< 新参の愛好者も劣らぬ愛好者 | main | 環状道路を回って交差点を通過 >>
「女性語」日常会話から消えゆく

写真作者:KAZ

絶滅が危惧されるというと、もっぱら生きもののことが想像されがちです。しかし、遺伝が途絶えていくのは生きものだけではありません。人の習慣や文化的行為なども廃っていくものです。それらも「絶滅が危惧される」といわれることはあります。

「女性語」が絶滅の状態に瀕しているといわれます。俗に、女性語とは、女性特有の言いまわしやことばのこと。

たとえば、話の最後につける「のよ」は、女性語のひとつとされます。「私、これからお買いものに行きますのよ」と言うときの「のよ」です。

国語辞典にも、終助詞の「の」に終助詞の「よ」がついた連語だと説明されていて、「強く断定したり言い聞かせたりする気持ちで念を押す意を表す」「 疑問の意を表す語と呼応して,相手をなじる気持ちを添える」などとあります。そして、後者には、「現代語では、主として女性語として用いられる」とあります。

今日日、実際の日常会話のなかで、女性が「行きますのよ」と話す場面に出合う機会は、かなりすくなくなったのではないでしょうか。

ほかにも「まぁ、きれいに咲いたこと」と言うときの「こと」や、「だって、仕方がないんですもの」と言うときの「もの」なども女性語とされます。

実際の日常会話では聞かれなくなったとしても、女性語はいまも漫画、小説、翻訳書などの、文で表される世界では存在しつづけているといいます。

たとえば、『別冊マーガレット』という漫画雑誌のなかで、女性語がどのくらい出てくるかを調べた研究があります。上の「のよ」については、1967年10月号では78回。1976年10月号では46回と減り、2015年10月号では2回だったそうです。

ほかの「もの」「こと」「わよ」「わね」などの女性語も、やはり昔からいまにかけて使われることが減ってきている傾向はあるようです。しかし、わずかながらも使われているので「絶滅した」とまではいえません。

文で表されるものは、それを読む人に文字表現で伝わることが求められます。女性語は、女性が話していることを示すための記号としては便利なものであるのでしょう。

しかし、日常会話で聞かれなくなって久しくなると、現実世界と創作世界での話しかたの乖離も大きくなっていきます。創作でも女性語の登場が減ってきているというのは、創作者にとっても使うことへの違和感が強くなってきていることのあらわれなのでしょう。

人の性の多様性がだんだんと認められ、男性と女性というだけでは区分できないようになっていけば、「女性語」ということばや考えそのものも廃っていくものかもしれません。

参考資料
張夢圓「日本語の女性語について 少女漫画に見る女性語の推移」
ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/bg/file/1602/20170418172505/BGN0051000007.pdf
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4737
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • アナウンサーも日常的に「やつ」
    ★ (08/03)
  • “遅れて来た”日産自動車、“満を持して”リーフ
    うぼで (06/13)
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE