科学技術のアネクドート

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スマホの“ちら見”で誤解あたえる


とある日本酒の酒蔵に、記者と見習い助手が取材に行きました。社長に、日本酒のつくりかたについて聞くという取材です。

社長は、酒づくりのさまざまな専門用語を出してきます。

「え、酵母かい。うちはキョウカイの1401を使っとるよ」
「昔はヤマハイもやっていたことがあるけれど、いまはね……」
「モロミができるまでは、やっぱりいまもうまくいくかと緊張するね」

記者のほうは、知っている専門用語もあれば、知らない専門用語もありましたが、とりあえず話を聴こうと相づちをうっていました。

いっぽう、見習い助手のほうは、知らない専門用語が多く、出てくるたびに手元にあるスマートフォンのインターネットで、そのことばを調べようとしました。心のなかで「キョウカイって……、ああ、協会酵母っていうのがあるんだな」などとつぶやき、ひとつひとつその場で解決しようとしました。

しばらく取材が続いているうちに、社長が話をふとやめました。

「おい、若ぇの! なにさっきからちらちら画面を見とるんじゃ! こっちは、もう話さなくてもいいんだぞ!」

社長は、酒づくりについて説明しているのに、若いほうの者はスマートフォンのなにかの情報が気になって自分の話を聴かずにいる、と見えたのでしょう。社長は話をする気がなくなり、取材はそこで取りやめとなってしまったとか……。

この見習い助手からしてみれば、自分なりに相手の話にがんばって付いていこうと思ったのでしょう。しかし、なによりまず、話している社長に興味があることを行動で示すべきで、スマートフォンに目をやるのはふさわしい行為ではありませんでした。百歩譲っても「自分はあなたのお話にかかわることをしているのですよ」ということを社長に対して伝えるべきだったのでしょう。

自分のしていることが相手にどう映っているのかを想像するのはむずかしいことです。いえ、そうしたことを想像すらしない場合のほうが多いのでしょう。
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