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木々の色味は先入観と異なりやすい(3)紅葉編
木々の色味は先入観と異なりやすい(1)森林編
木々の色味は先入観と異なりやすい(2)サクラ編


京都・嵐山の紅葉

秋から冬にかけて、広葉樹が葉を落とす前に、葉が紅くなっていきます。紅葉です。葉と枝をつなぐ部分に離層がつくられ、枝のほうに移動できなくなった糖類がアントシアンという赤い色の物質に変わることで起きると説明されます。

「紅葉」と書いて「もみじ」とも読むため、「紅葉」から「真っ赤に色づいた葉」を思いうかべる人もいることでしょう。そして、葉だけでなく、山全体が赤々と色づくような光景を思う人もいるかもしれません。

しかし、実際の山では、一面がすべて赤や黄などの暖色で染まるということはまずもってありません。

冒頭の写真は、京都の嵯峨界隈から見た嵐山です。真っ赤に染まっているモミジやカエデのような木々があるいっぽうで、なかには色の変わっていない、緑色のままの木々もあります。暖色系のほうが目立つものの、緑色の木々のほうが面積はおなじか広いくらいかもしれません。

この写真も、フォトショップの「モザイク」効果をかけてみると、赤色、橙色、黄色などの暖色系から、ややくすんだ深緑色まで、多様な色模様となりました。


上の嵐山の紅葉の写真に「モザイク」をかけた画像

日本の森林は基本的に、2種類以上の樹木が混ざっている「混交林」です。なかにはスギだけなど1種類のみからなる「純林」とよばれる森林もあるものの、そうした純林のほとんどは紅葉の起きない針葉樹です。

つまり、紅葉の見られる森林では、さまざまな種類の広葉樹や針葉樹が混ざりあっています。樹木の種類がちがうならば、一斉にその山の木々が色づきはじめ、一斉に紅葉が進むということはまずありません。

そのため、紅葉の進む木、それよりも紅葉の遅れる木、さらに紅葉しない木などが入りまじり、写真にあるような小片をはぎあわせたような色模様となるわけです。

さまざまな色のある山の姿を見るのは、単一の色の山の姿を見るよりも、むしろ味わい深さがあるのではないでしょうか。

京都・嵐山の森林は、かつて針葉樹のアカマツ林だったのが、広葉樹のシイ類やカシ類が増え、このような姿になりました。(了)

参考資料
高梨武彦「京都 ・東山およ び嵐山で行った森林に関する意識調査」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssdj/51/3/51_KJ00003300942/_pdf
森林インストラクター・環境カウンセラー 豊島襄の『林住日記』「京都嵐山の植生」
https://forestjo.exblog.jp/14835995/
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