科学技術のアネクドート

<< 航海の“保険”が「沖縄人」につながったという可能性も | main | 「通訳」は人も指し、「翻訳」は人を指さず >>
伝える文とともに、伝わる絵
街なかでは、工事現場のところに、「ご迷惑をおかけしてまことに申し訳ありません」などと書かれた看板が掲げられてあることがあります。工事で大きな音を出したり、搬入車を出入りさせたりすることに対して、まわりの人びとにお詫びを伝えようとしているのでしょう。

「ご迷惑をおかけしてまことに申し訳ありません」と伝えようとするとき、ことばだけでなく、絵も添えるほうが効果的。そこで、「まことに申し訳ありません」という思いを具現化したような人物の絵を、看板に添えることになります。



この写真にある看板の絵の人物も、「ご迷惑をおかけしてまことに申し訳ありません」という文言とともに描かれていますから、お詫びの意を示そうとしていると考えられます。

そのしるしに、まず、工事帽をとることにより、相手に敬意をはらっています。そして、腰をかがめることにより、相手より低姿勢でいようとしています。

なによりも伝わってくるのは、「顔の表情」ではないでしょうか。

この絵の人物の前には、相手の人つまりお詫びを受けている人が立っているのでしょう。その相手のことを上目づかいで見つめています。しかも、なみなみならぬ上目づかいです。眼の黒い部分が眼の上半分まで上がるほどの上目づかいをしている人を見たことがあるでしょうか。

一般的に、お詫びをするときは、伏し目がちにするほうが、相手に誠意が伝わるとはいわれるもの。しかし、相手の目をまったくみないとなると、それも相手に「失礼だ」ととらえられかねません。

おそらく、この絵は、伏し目がちにお詫びをしながらも、相手の目を見たときの一瞬を切りとったのではないでしょうか。これほどの上目づかいを続けていると、目の筋肉が疲れてしまうでしょうから。

表情でもうひとつ伝わってくるのは、口が引きしまっているということです。とくに、くちびるの左右端の口角のところにきゅっと力を入れています。その結果、あひる口のようになっています。

見方によっては、この口のかたちは、笑みをがまんしているときの表情に見えなくもありません。実際、そうなのかもしれません。では、なにに対して笑みを浮かべているのか。それはおそらく、この人物がこの工事現場で新しい建てものをつくり、街をよりよいものにしていくことへのよろこびや希望に対してではないでしょうか。



建てものを建てることへのよろこびを隠せない人が、帽子を脱いで腰をかがめ、そして相手の目をしっかり見て、お詫びをする……。このようなことがひしひしと伝わってくる絵といえるのではないでしょうか。
| - | 13:13 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4702
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • アナウンサーも日常的に「やつ」
    ★ (08/03)
  • “遅れて来た”日産自動車、“満を持して”リーフ
    うぼで (06/13)
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE