科学技術のアネクドート

<< 「科学ジャーナリスト塾」第17期塾生を募集開始、「講師たちに聞け(質問大会)」などの企画も | main | ダブルヘッダー、試合と試合のあいだは20分、ただし特定も >>
「茨城高専の世界最高度分析装置でイワシの生態解明へ」


ウェブニュース「JBpress」で、きょう(2018年)7月20日(金)「茨城高専の世界最高度分析装置でイワシの生態解明へ 『弱』をつけられた魚の値打ち(後篇)」という記事が配信されました。

題に「茨城高専」とあるように、国立茨城工業高等専門学校の研究室に置かれている分析装置を使ったイワシの生態解明について伝えています。

高等専門学校は、専門の学芸を授け、職業に必要な能力を養うための教育機関とされます。中学校を卒業した人が入学し、卒業までは5年。さらにその先、専攻科に進む人はもう2年、高専で学びます。

記事で紹介している技術は、イワシなどの魚の体にある「耳石」を試料にして、その魚がどんな海水の環境で生きてきたかを推定することなどに使われているもの。

高専で准教授をつとめている研究者が、設計、製作、操作、プロジェクト監督などの、分析装置開発にかかわる一切を手がけたといいます。みずからですべてを手がけることの利点を「かゆいところに手が届きます。分析のクオリティもこつこつと高めていきました」と言っています。その結果、ほかの同様の分析装置とくらべて、性能レベルが2桁以上も優れた装置が誕生しました。

この技術をなりたたせる、装置とは異なるもうひとつの要素が、手技。耳石には毎日、樹木の年輪とおなじようなしくみで「日周輪」という成長輪が刻まれていきます。日周輪を見て、「生後何日目から何日目まで」といった日数区分でその耳石を削ることができれば、イワシが「その期間」をどうすごしてきたかを分析できる試料を得られることになります。

しかし、イワシの耳石は成魚のもので直径2ミリメートルほどしかありません。たくさん刻まれた日周輪から「生後何日目から何日目まで」の日数区分で削ろうとしても、なかなかむずかしいもの。従来は、20日分といった区分でしか削ることができなかったといいます。

ところが、高専の学生は削る手技を高めていき、世界最短となる「3〜4日」という日数区分で耳石を削ることに成功しました。

これにより、これまでは「イワシが過ごしてきた20日間」といった大雑把な日数区分でしか分析できなかったところが、「イワシが過ごしてきた3日間」といった細かい日数区分で分析できるようになりました。

研究者も学生も、座学などの授業があるなかで、時間をやりくりして、分析技術を高めてきたようです。イワシをはじめとする魚類の「全体の絵」が、こうした分析技術によって、より明確に描かれようとしています。

「茨城高専の世界最高度分析装置でイワシの生態解明へ 『弱』をつけられた魚の値打ち(後篇)」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53583

イワシという魚に対する日本人の価値観の変遷などをたどった前篇「日本の缶詰第一号、イワシは謎に満ちた魚だった」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53543
| - | 11:02 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4665
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • アナウンサーも日常的に「やつ」
    ★ (08/03)
  • “遅れて来た”日産自動車、“満を持して”リーフ
    うぼで (06/13)
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE