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医療の問題を経済学の視点で分析し、解決めざす

写真作者:sergio santos

経済学の本質的な目的は、「お金もうけをする」ことではなく、「かぎられた資源を有効に使うこと」にあるといいます。かぎられた資源を有効に使うことによって、人びとの幸せになったり、望みがかなったりすれば、経済学は役立ったことになるでしょう。

世の中のどんな分野でも「資源が無尽蔵にある」ということはめったにありません。このことからすると、多くの分野で経済学が役立てられる可能性があるということになります。

医療の分野に関係する経済学は「医療経済学」とよばれます。医療とは、医術で病気を治すこと。医療の分野で生じる問題を、経済学の見かたで分析したり研究したりする学問といえます。ただし、医療経済学では、純粋な医療だけでなく、保健や健康福祉といった病気になる前の段階における問題も扱います。

また、たんに分析したり研究したりするだけでなく、問題の解決の方法をうちたてることも研究者たちの視野に入っています。医学・医療が人びとと直接的に接して問題を解決するものだとすれば、医療経済学は社会の環境をよくしたり、医療のしかたやありかたを検討したりすることで問題の解決をめざそうとするものといえます。

意外にも医療経済学が経済学の一分野として確立したのは1970年代に入ってからのことといいます。近年になって医療経済学が存在感を増した背景には、医療費が増えて国家の財政を逼迫するようになったこと、また、医薬品や医療機器の産業が大規模になったことなどがありそうです。

米国の経済学者だったケネス・アロー(1921-2017)は、医療経済学の経済学としての特殊性を、患者と医療従事者のあいだで情報の非対称性があること、けがや病気の発生や経過に不確実性があること、また、外部性があることなどをあげてます。

「外部性がある」というのは、医療や健康福祉が当事者ではない人にも影響するというもの。たとえば、感染症の治療がうまくいくと、感染症になっていない人びとの感染症リスクも下げられる、といったものです。

経済学の成果は、医学・医療や工学などとちがって、目に見えるようなものがすくないため、実感がわきづらいもの。しかし、成果が出れば出るほど、かぎられた資源を有効に使うことにつながっていきます。それもなかなか実感できませんが。

参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「医療経済学」
https://kotobank.jp/word/医療経済学-32469
世界大百科事典「医療経済学」
https://kotobank.jp/word/医療経済学-32469
国際保健用語集「医療経済学」
https://www.weblio.jp/content/医療経済学
安川文朗「医療経済学1 医療経済学とは」
https://yasukawafumiaki.weebly.com/uploads/2/6/5/5/26557135/teikyo1.5.12.pdf
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