科学技術のアネクドート

<< スマートフォンをペルチェ効果で冷ます | main | 「福島原発事故再検証委員会」が、原発事故調査委員会の元委員長らにインタビュー >>
全体として「多様性があること」には利がありそう

写真作者:phatman

森羅万象のものごとが、こまかく分けて理解されるようになると、人びとは「多様性がある」と考えるようになります。生きものも、食べものも、媒体も多様性であふれています。いまの時代ほど「多様性」に多様性がある時代はなかったのではないでしょうか。

さまざまな多様性が感じられるようになると、人びとは「多様性とはよいものなのか」といったことを考えるようになります。「よいものなのか」というのがあいまいであれば「利のあるものか」といいかえてもよいでしょう。「多様性がある」ということは、それだけで利のあるものなのでしょうか。多様性に害はあっても、利のほうがうわまわっているのでしょうか。

生きもの、遺伝資源、あるいは腸内細菌といった生物学をめぐる多様性からすると、全体として、「多様性がある」ことは利のあるものといってよさそうです。生きものに多様性がなくなると、ゆくゆくは生きている生きものも絶滅の危険にさらされていき、絶滅してしまうかもしれません。腸内細菌についても、身体によい作用をする細菌だけがわずかな種類が腸内にいるよりも、よい作用をする細菌もいれば、悪い作用をする細菌もいるし、日和見的な菌もいるといった、菌の多様性があるほうが、共生している人の身体にとっては利点が多いという話もあります。

時代や地域によって、文化のとるかたちがさまざまであることを「文化的多様性」があるといいます。国際連合教育科学文化機関(UNESCO:United Nations Educational,  Scientific and Cultural Organization)は2001年、「文化的多様性に関する世界宣言」を採択しました。これによると、「生物的多様性が自然にとって必要であるのと同様に、文化的多様性は、交流、革新、創造の源として、人類に必要なものである」とあります。「利があるか」とはまたべつですが、「必要なものである」というからには、文化的多様性があることには意義があると、この宣言はうたっているととれます。

言語の多様性についてはどうでしょうか。世界には、およそ6900の言語があるといいます。世界で使われている言語がひとつに統一されれば、便利を感じる人はいるのではないでしょうか。この考えかたからすると、言語の多様性は利より害のほうが多いとなるのでしょうか。

思考の根本には言語があるといいます。言語があるからこそ人は考えるともいいます。もし、その言語に多様性がないとなると、人の考えることも、いまよりにたりよったりのものになるかもしれません。それは、上にある文化的多様性を低くすることにつながるものです。

たしかに、エスペラント語や英語のような統一言語があるのは意思疎通のうえで便利ではあるのでしょうが、それだけになってしまうと失われてしまう文化もありうるわけです。

小さな視点でとらえれば、「国の種類が多いほど、受験勉強で覚えなければいけないことが増えてつらい」とか、「宗教がべつの人とはうまくやれそうにない」とか、個人として感じる害はあるかもしれません。いっぽうで、より大きな視点でとらえれば、たいていの多様性は、あったほうが利が多いものとなるのかもしれません。

参考資料
文部科学省 日本ユネスコ国内委員会「文化的多様性に関する世界宣言」
http://www.mext.go.jp/unesco/009/1386517.htm
英検 Jr.「世界にいくつ言語があるか?」
http://www.eiken.or.jp/eiken-junior/enjoy/welcome/detail01/detail_01.html
ナショナル・ジオグラフィック「研究室に行ってみた 国立言語研究所 時空間変異研究系 第5回 消滅危機言語をなぜ守らなければならないのか」
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120702/314563/?P=1
| - | 22:45 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4647
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • アナウンサーも日常的に「やつ」
    ★ (08/03)
  • “遅れて来た”日産自動車、“満を持して”リーフ
    うぼで (06/13)
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE