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絶海の孤島にも生態系のきっかけ
地球には「絶海の孤島」とよばれる、海にぽつねんと浮かぶ島がいくつかあります。

島というものは、かつて大陸の一部だったのが離れてできた「陸島」と、誕生したときから一度も大陸と接したことなくつくられた「洋島」に分けることができます。「絶海」は陸からはるか離れた海のことをいいますから、いずれの「絶海の孤島」も洋島だといえます。

いくら、ほかの陸地から離れているとしても、たいていの絶海の孤島には生態系があります。生態系とは、ある地域、ここではその島に住む生きものの群や、その生きものの生活にかかわる要素などの一体のこと。生態系があることがひと目でわかる方法は、その島にみどりがあること。インターネットの画像検索で「絶海の孤島」と入れてみると、ほぼすべての画像に写っている島々にみどりが見られます。

多くの絶海の孤島は、海底火山が噴火して、その頂が海面より上に出てきてつくられたもの。となると、島が生まれたときに生態系はなかったはずです。なにがきっかけとなり、絶海の孤島に生態系がつくられはじめるのでしょうか。

絶海の孤島にたどり着きやすい最有力候補といえるのが海鳥たちです。海鳥たちはふだん海のうえにいますが、繁殖の時期を迎えると島をふくむ陸地にやってきて生活を送ります。


海鳥
写真作者:Iain Merchant

「絶海の孤島」とまではいえないまでも、2013年の海底噴火で誕生し、成長してきた西之島新島では、“さら地”に海鳥がいることが確認されたといいます。


西ノ島新島
Google Earth

もし、動物がエサとして植物の種を食べ、消化されないまま糞に混じって種が排泄されれば、そこに落とされた種が芽が出て育っていく可能性はあります。しかし、海鳥は基本的に肉食であるため「海鳥を介して植物」という可能性はあまりなさそうです。ただし、海鳥の糞や死骸が、その絶海の孤島の土を肥やすことに役立つことはありそうですが。

渡り鳥は、たとえば群れからはぐれた個体が絶海の孤島に立ちよりうるかもしれません。渡り鳥のなかには、カナダガンのように草食動物もいます。食べた草に固い種が混ざっていて、それが遠く絶海の孤島まで運ばれて、糞として落とされ芽が生えるといった可能性はちょっとはあるかもしれません。

ほかに鳥類を介して植物の種が運ばれるとすれば、たまたま足に種がついて、それが絶海の孤島で離れるといったことは考えられそうです。

また、絶海の孤島のまわりの海には流れがあるでしょうから、植物の種がぷかぷかと海を漂い、漂って、できてまもない絶海の孤島の海岸にたどりつき、そこで芽が出るといったこともありえるでしょう。

いずれの「きっかけ」も、人間の感覚からすれば「めったに起きそうもないこと」となるでしょうか。しかし、「めったに起きそうもないこと」であっても、地球の長い歴史でみれば「いつかは起きること」なのであり、絶海の孤島にみどりが見られるのは、その現れであるともいえるのです。

参考資料
ダイビング用語辞典「海洋島」
https://kotobank.jp/word/海洋島-670693
デジタル大辞泉「陸島」
https://kotobank.jp/word/陸島-657484
NHK解説委員室 2016年12月6日付「西之島 新島誕生3年 /靴燭蔑γ呂叛己の将来」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/258656.html
毎日新聞 2018年2月2日付「小笠原諸島 海鳥の揺りかご 西之島、噴火前の9.4倍に」
https://mainichi.jp/articles/20180202/k00/00e/040/213000c
カラパイア 2015年5月19日付「海外でも大注目。火山活動で生まれた西之島新島に新たな生態系を観察できる千載一遇のチャンスが到来」
http://karapaia.com/archives/52192262.html
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