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動くものが好きだから「乗りものが好き」という説も

写真作者:Hirosi Itô

多くの子どもが「乗りもの好き」であることにまちがいはないようです。とくに、女子より男子のほうが乗りものを好む向きがあるようです。

とりわけ男子が乗りものを好きになる理由は解明されていないものの、男子は動くものを好む傾向があるとされます。これに対して女子は、やわらかいものや丸いものを好む傾向があるそう。脳の構造などの性差によるものなのか、歴史、文化、社会などの背景からもたらされる性差によるものなのかはわかりません。一説には、男性ホルモンの分泌量のちがいがかかわるという話もあります。

では、子どもたちはどんな乗りものに興味があるのでしょう。

だいぶ古いアンケート結果になりますが、バンダイ(いまのバンダイナムコ)は2007年2月「お子様の好きな乗り物は何ですか?」というアンケートレポートを発表しました。0歳から12歳の男子の保護者1000人とおなじく女子の保護者2000人に聞いたもの。

これによると、男女総合でもっとも「子どもの好きな乗りもの」として多かったのは、「電車」で24.6%だったそうです。そして、「自動車(乗用車)」の17.0パーセント、「自転車(二輪)」の12.2パーセント、「新幹線」の10.9パーセント、「バス」の9.3パーセント、「飛行機」の8.5パーセントとつづきました。

電車、自動車、自転車といえば、家庭にとって身近な乗りもの。やはり、使う頻度の高い乗りものには、子どもたちの興味がわくということでしょうか。あるいは、乗りもののなかで頻度高く使っているものほど、子どもが興味深そうな表情を示すのを親が目にする機会が多くなるため、身近な乗りものに対して「子どもが好き」と答える数が増えるということでしょうか……。

子どもとて、乗りものをめぐる「光景」を目にしているはずです。たとえば、電車に乗るときも、駅のホームに近づいてくる電車の筐体を見ているでしょう。そして、電車に乗れば、車内空間や座席を見るし、座席に座って車窓から動く風景を眺めていることでしょう。

こうした一連の、五感に刺激するさまざまな情報が、一体となって「動きのある乗りものに乗る」という経験を、価値ある貴重なもの、ひいては好きなものと感じるようになるのではないでしょうか。

そして、「新幹線」や「飛行機」への興味は、子どものそれまでの数年の乗りもの体験では味わえなかったような、速さや特別感がともなうため、その経験から「新幹線が好き」「飛行機が好き」といった、細分化された好みがわくのではないでしょうか。

さまざまな乗りものの種類があるなかで、乗りものに携わる企業にとっては、自分たちが手がける乗りものを好きでいてくれることも、重視するものかもしれません。子どものころの乗りものをめぐるよい思い出が、おとなになってからの嗜好に関わってくることもあるでしょう。子ども客を軽んじることはできますまい。

参考資料
ベネッセ教育情報サイト「なぜ、男の子は乗り物、女の子はぬいぐるみを好むの? 遊びの性差 前編」
http://benesse.jp/kosodate/201606/20160618-2.html
乗りものニュース 2017年7月17日付「男性はなぜ『乗りもの』が好き? 発達心理学の観点から見た性別による嗜好の偏重とは」
https://trafficnews.jp/post/75867/2
バンダイ 2007年2月「子どもたちが一番好きな乗り物は、『電車』!」
http://www.bandai.co.jp/kodomo/pdf/question138.pdf
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