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ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致、ただし同一のゲノムで

チンパンジー
写真作者:naitokz

生きものの形や特徴の“設計図”となるのが遺伝子です。遺伝子は、細胞の核などにあるデオキシリボ核酸(DNA:DeoxyriboNucleic Acid)に飛び飛びに含まれています。

19世紀末から20世紀にかけて、遺伝しないしデオキシリボ核酸がどのようなつくりでできているのかを解明する「ゲノム解読」という技術が発達し、いろいろな種類の生きものの遺伝子の特徴がわかるようになってきました。

その結果、つぎのようなこともわかってきたといいます。

「ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致する」

ゲノムとは「遺伝子全体」をさすもの。つまり、「ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致する」ということは、ヒトとチンパンジーの遺伝子全体は98.5パーセント一致し、一致しないのは1.5パーセントである、ということになります。

ゲノムを、たとえば“建てものの設計図全体”にたとえみます。設計図が「98.5パーセント一致する」けれど、その設計図どうりに建てものを築いたら、いっぽうは「お城」ができあがり、もういっぽうは「お寺」ができあがった……。そのようなことが、ヒトとチンパンジーのあいだでいえることになります。

しかし、「ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致する」という言説には、あまり知られていない“条件”がついているといいます。

「ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致する」というときの「98.5パーセント」とは、ヒトもチンパンジーも同一にもっているゲノムの部分のみに限定した「98.5パーセント」なのだといいます。つまり、ふたつの設計図を透かしてみるなりして、大きく一致している部分に着目したところ、そのかぎりにおいて、ちがいは1.5パーセントだったというわけです。

では、ヒトとチンパンジーが同一にもってはいないゲノムの部分はどのくらいあるのでしょうか。

博物館の説明などによると、ヒトのゲノムではおよそ25パーセント、チンパンジーのゲノムではおよそ18パーセントが無視されている、つまり「98.5パーセント一致する」の考慮する対象外となっているといいます。

ですので、ヒトのゲノムすべてとチンパンジーのゲノムすべてをくらべたら、一致している部分は98.5パーセントとはならず、それよりかなり低い率になるわけです。

お城を築くときには石垣を置きますが、お寺を築くときには置きません。お寺を築くときには賽銭箱のある向拝とよばれるところをつくりますが、お城ではつくりません。こうした、そもそもちがっている部分は無視したうえで、あらためてくらべたところ、残りの部分はほとんどおなじだった、といっているわけです。

参考資料
国立科学博物館「98.5%チンパンジーは本当か?」
http://img-cdn.jg.jugem.jp/b82/15839/20180613_2732066.jpg
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