科学技術のアネクドート

<< (2018年)8月4日(土)5日(日)は「鉄道模型コンテスト2018」 | main | ヒトとチンパンジーのゲノムは98.5パーセント一致、ただし同一のゲノムで >>
車掌「スマート・タブレットの操作はおやめ」と促す


写真作者:yagi-s

電車に乗っている人は、それまで聞きおぼえのなかった車内放送の案内を聞くと、「お、こんなこと言うようになったのか」と新鮮な気もちになるものかもしれません。

通勤客を多く乗せたJR東日本の電車が、東京都内の乗り降りの激しい主要駅に到着しました。扉が開いて、乗客がつぎつぎと降りていくなか、車掌が車内放送でつぎのように告げました。

「お客さまにお願いです。お降りの際は、スマートフォンやタブレットなどの操作はいったんおやめいただきますよう、スムーズな乗り降りにご協力ください」

この車内放送内容はいつごろから始まったものでしょうか。あるいは、会社や路線としての方針でなく、その車掌の独自の判断によるものでしょうか……。

鉄道は定時運行をめざすもの。駅での降り乗りの時間がかかりすぎも定時運行の妨げになります。乗客がスマートフォンをいじりながら電車を降りようとすれば、「降りる」という動作に集中していない分、動きが鈍くなったり、まわりの客とぶつかったりするおそれがあります。これらは当然、客全体として降り乗りにかかる時間を長くすれども、短くすることはありません。

それぞれの駅には、乗降客の多さなどにより、標準停車時間というものが定められているといいます。この定められた駅での停車時間をすこしでも超えると、あとから続く列車への影響が雪だるま式に増えていくといいます。

あるシミュレーションによると、駅での停車時間を30秒増やしたところ、あとにつづく列車は同じ駅で停車時間が4秒増え、さらに次の駅に停まるごとに停車時間は増えていき、4駅先の駅では停車時間が20秒も増えることになったといいます。こうして電車が遅れると、そのあとにつづく電車も遅れるようになり、全体としてその線の運行はその時間帯、遅れ気味になるようです。

定時運行を果たしたい鉄道会社にとって、駅での停車時間が長引くのは、影響がその電車だけにとどまらない問題。「スマートフォンやタブレットなどの操作はいったんおやめいただきますよう」はまだ新鮮に聞こえる車内放送のため、それなりの効果はありそうです。ただし、客が聞きなれてきた場合に効果はつづくでしょうか。

もっとも、電車に乗る客に「すこしでも空いているドアよりご乗車くださいますよう、ご協力お願いします」と促すよりも、よっぽど客に実行動を促す効果はありそうです。

参考資料
仮屋圭司「都市鉄道における列車遅延の回復 メカニズムの解明と列車遅延防止対応策」
https://ci.nii.ac.jp/naid/500000965998

| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4627
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • アナウンサーも日常的に「やつ」
    ★ (08/03)
  • “遅れて来た”日産自動車、“満を持して”リーフ
    うぼで (06/13)
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE