科学技術のアネクドート

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「EPAやDHAが……」はまぁにているから
食べものの成分に関心のある人であれば、「EPAやDHA」と聞けば、だいたいの人が「知っている」または「聞いたことはある」となりそうです。

「EPA」とよばれるのは「エイコサペンタエン酸」という物質のことで、“EicosaPentaenoic Acid”の頭文字などをとったもの。また「DHA」とよばれるのは「ドコサヘキサエン酸」のという物質のことで、“Docosahexaenoic Acid”の頭文字などをとったもの。ともに、イワシやサバなどの魚に多くふくまれる成分とされます。

では、どうして「EPAやDHAが……」といったように、このふたつの物質はおなじ並びで語られることが多いのでしょうか。「どこさ」と「いこさ」で語呂がいいといったことではまさかありますまい。

エイコサペンタエン酸は、炭素原子20個、水素原子30個、酸素原子2個からなりたっています。いっぽう、ドコサヘキサエン酸は、炭素原子22個、水素原子32個、そして酸素原子2個からなりたっています。エイコサペンタエン酸のほうが水素原子は2個、また炭素原子は2個多いわけです。


エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の化学構造

原子の数や、構造がにていることから推測できるように、このふたつの物質はちょっとした化学変化により、エイコサペンタエン酸からドコサヘキサエン酸になったり、ドコサヘキサエン酸からエイコサペンタエン酸になったりするのです。

これらふたつの物質は「オメガ3脂肪酸」とよばれる系列にふくまれています。オメガ3脂肪酸とは、脂肪酸の一種。脂肪酸とは、脂肪を構成するおもな物質です。「オメガ3」とつくのは、脂肪酸の分子のメチル末端とよばれる端っこから数えて3番目の結合のところに「炭素と炭素の二重結合」という特徴的な結びつきをもっているからです。

オメガ3脂肪酸は、はじめの段階として「アルファリノレン酸」という物質から始まり、代謝によって「ステアリドン酸」さらに代謝によって「エイコサテトラエン酸」となります。さらに代謝が進むと「エイコサペンタエン酸」となり、さらに進んで「ドコサペンタエン酸」(DPA:DocosaPetaenoic Acid)に、さらに進んで「ドコサヘキサエン酸」となります。

また、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸では、逆方向の化学変化も可能で、ドコサヘキサエン酸からドコサペンタエン酸を経て、エイコサペンタエン酸にもなります。

さらに、エイコサペンタエン酸から、ドコサペンタエン酸を経ずにドコサヘキサエン酸になるという、もうひとつの経路もあるとされます。この経路は「シュプレッヒャーの側路」などとよばれています。

かいつまんでいえば、「EPAやDHAが……」のように一括りで語られるのは、基本的な構造がオメガ3脂肪酸でおなじであり、よって魚などから摂取したときの人体への作用もにかよっており、代謝でおたがいがおたがいになりやすいといったものだからと考えられます。

参考資料
ウィキペディア「ω-3脂肪酸」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Ω-3脂肪酸
ウィキペディア「エイコサペンタエン酸」
https://ja.wikipedia.org/wiki/エイコサペンタエン酸
ウィキペディア「ドコサヘキサエン酸」
https://ja.wikipedia.org/wiki/ドコサヘキサエン酸
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