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「ついに」に期待、「ようやく」に不満


世の中では、不祥事や問題行動が明らかにされた人に対して「その役職を辞めろ」という圧力のようなものが加わります。「辞めるべき」と評価されてしまった人がなかなか辞めないでいると、「さっさと辞めたら」といった圧力が強くなります。そして、いざその人物が役職を辞めることになると、「ついに辞めたか」「ようやく辞めたか」といった世間の意見が聞かれるようになります。

そうした世間のありかたについてはさておき、「ついに」と「やっと」はよくにた副詞です。では、どちらにどんな意味あいがともなうでしょうか。

「あの人、ついに辞めたか」
「あの人、ようやく辞めたか」

「ついに」のほうは、期待が高まりつづけた末に、その期待が現実のものになり、達成感を得られたような語感があるのではないでしょうか。「辞めてほしい」という期待が強まる一方だったなかで、「ついに辞めたか」というわけです。

いっぽう、「ようやく」については、こちらも期待をしつづけていたことがあるけれど、それがなかなか実現しないため、期待が不満が募っていたところ、その期待が現実のものになり、溜飲を下げることができたような語感があるのではないでしょうか。「辞めてほしい」のに辞めないという不満が強まる一方だったなかで、「ようやく辞めたか」となるわけです。

つまり、実現されていなかったことに対する心の状態が「期待」か「不満」かでいえば、「ついに」は「期待」のほうであるのに対し、「やっと」は「不満」のほうであるというわけです。

ほかの例でも、「ついに」と「ようやく」の意味あいのちがいがうかがえます。

「彼は、ついに成功をおさめた」
「彼は、ようやく成功をおさめた」

なお、「ついに」は「終に」「遂に」「竟に」などと書き、「とうとう」と極めて意味が近いとされます。ただし、「ついに」のほうは、期待していたことが達成されるだけでなく、達成されなかった場合にも使うのに対し、「とうとう」のほうは、達成された場合のみにも使われる傾向があるといったちがいはあるようです。

また、「ようやく」は「やっと」と極めて意味が近いとされます。どちらも「漸く」「漸と」のように、「漸」の漢字が使われます。

参考資料
デジタル大辞泉「ついに」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/146107/meaning/m0u/ついに/
デジタル大辞泉「ようやく」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/226831/meaning/m0u/ようやく/
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