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「若いときの苦労は借りてでもしろ」


ことわざに「若いときの苦労は買ってでもしろ」というものがあります。若いときにする苦労は貴重な経験となり将来に役立つから、自分から求めてでも苦労するほうがよい、といった意味です。

ものを「買う」というのは、お金を払って自分のものとする、ということ。「若いときの苦労は買ってでもしろ」の場合、さすがにお金を払う人はあまりいないでしょうが、「手間がかかってでも積極的に苦労を得るべき」といった意味で「買う」が使われているものと考えられます。

ところで、とくに近ごろは、ものを「買う」ことをせず、かわりに「借りる」ことで目的を済ませる、といった考えや行いが広まってきたようです。かねてから、車を借りるレンタカーはありましたが、近ごろはさらに車を借りあうカーシェアリングも多くなってきています。

「買う」も「借りる」も、目的とするものを得るという点ではかわりありません。「車を買う」とも「車を借りる」ともいいます。

では、「苦労」については、どうなってしまうのでしょうか。「若いときの苦労は買ってでもしろ」ではなく、「若いときの苦労は借りてでもしろ」となったら……。

「買う」と「借りる」のちがいは、「買う」は自分の所有物にするのであるのに対して「借りる」は自分の所有物にはせず返却する、というもの。

ですので、「苦労」を買わずに借りるとすれば、いったん人から自分が受けとった「苦労」を、いつかその人に返却することになります。

たとえば、苦労に絶えない作業を担わされている人がいるとします。この人に対して、べつの若い人が「苦労を買ってでもする」となれば、「私がその作業をこれからはさせていただきます」のように完全交代になりそうなものです。

いっぽう、苦労に絶えない作業を担わされている人に対して、若い人が「苦労を借りてでもする」となれば、「私がその作業をこれからはさせていただきます。でも、その後お返しします」のように一時交代になりそうなものです。

苦労をさしあげる側の人にとっては、苦労を買ってもらえたほうが「金輪際、この仕事から離れられる。ああよかった」となるでしょうが、苦労を貸すとなると「いまは苦労から解かれたけれど、後日また私があれをやるのか」と、だいぶ嫌さ感が残りそうです。

参考資料
故事ことわざ辞典「若い時の苦労は買ってでもせよ」
http://kotowaza-allguide.com/wa/wakaitokinokurou.html
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