科学技術のアネクドート

<< 蹴伸びで水の抵抗をすくなく | main | 「みどりの学術賞2018」篠崎和子さん、植物の環境ストレス応答のしくみを解明 >>
「みどりの学術賞2018」熊谷洋一さん、景観影響評価方法論の構築と自然環境の理解普及に貢献


5月4日は「みどりの日」。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日と法律で定められています。また、4月15日から5月15日までは「みどりの月間」でもあります。

内閣府が主催する「みどりの学術賞」という賞があります。これは「国内において植物、森林、緑地、造園、自然保護等に係る研究、技術の開発その他『みどり』に関する学術上の顕著な功績のあった個人」が受賞するもの。「みどりの日」についての国民の造詣を深めるために設けられました。

第12回となる2018年度は、東京大学名誉教授、兵庫県立淡路景観園芸学校名誉校長の熊谷洋一さんと、東京大学大学院農学生命科学研究科教授の篠崎和子さんが受賞しました。

熊谷さんへの賞は、「自然環境の保全管理の基本となる景観影響評価方法論の構築と自然環境についての国民への理解と普及への貢献」に対してのもの。

景色や眺めのことを「景観」といいますが、景観のよさなどを測る方法を築いたり、自然の環境のすばらしさなどを広く人びとに知ってもらうための活動をおこなったりしたことが、受賞の理由となったようです。

「環境アセスメント」ということばはよく聞くもの。開発が環境に及ぼす影響などについて事前に予測することをさします。熊谷さんは、この考えかたに、景観という観点を採りいれる提案をしました。つまり、数値などで、そこの景観のよしあしを測れるようにし、それを、アセスメントのひとつとして具体化したわけです。2002年には『環境アセスメント技術ガイド 自然とのふれあい』(自然環境研究センター)といった本として出版されました。

なお、熊谷さんの博士論文は、「景観アセスメントにおける予測評価手法に関する研究」というもの。学生時代からの研究テーマが、その後、実際に社会で役立てられていったことがうかがえます。

いっぽう、自然の環境のすばらしさなどを広く人びとに知ってもらう活動としては、「人を育てる」というところに力を入れてきたことがまず挙げられそうです。

永らく東京大学で教授職をつとめたほか、1998年からは兵庫県淡路景観園芸学校の校長、学長、名誉学長を歴任しています。この学校は、「景観園芸」という学際的な学問分野を学べる学校。専門職大学院課程、園芸療法課程、生涯学習課程といったコースがあり、学校や学生の活動は本格的であることがうかがえます。

また、東京・日比谷公園で10月に開かれている、「日比谷公園ガーデニングショー」では、実行委員長をつとめるなど、人びとがみどりを愛する機会をつくる活動にも積極的です。

景観や自然環境といったものを、多くの人びとは「そこにあって当たりまえ」という感覚で接しています。しかし、そのよさやすばらしさを人びとが分かちあううえでは、「方法」というものがあるもの。熊谷さんの業績は、景観や自然環境にかこまれて過ごす人びとすべてにかかわるものといってよいのではないでしょうか。

このブログでは5日(土)には、2018年度の「みどりの学術賞」もうひとりの受賞者である篠崎和子さんの業績などをたどる予定です。

参考資料
内閣府「第12回みどりの学術賞 受賞者プロフィール」
http://www.cao.go.jp/midorisho/gakujutsusho/profile_kumagai.html
熊谷洋一「環境アセスメントにおける予測評価手法に関する研究」
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004661194.pdf?id=ART0007389071
兵庫県立淡路景観園芸学校「新しい学問分野『景観園芸』」
http://www.awaji.ac.jp/about/new_field
日比谷ガーデニングショー実行委員会 2018年1月25日発表「『第16回日比谷公園ガーデニングショー2018』開催が決定」
http://www.hibiya-gardening-show.com/news/20180125_2.pdf
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/4588
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE