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「問題はべつにして、建築意匠は評価できる」の声も


森友学園への国有地売却をめぐる問題では、2018年3月に決裁文書の改竄が明るみになって以降、当時の理財局長が大阪地検特捜部に事情聴取を受けるなど、動きが激しくなっています。

問題の発端となった場所のひとつが、豊中市にある「瑞穂の國記念小學院」が開校される予定だった場所です。ここに建っているのは、小学校として使われるはずだった校舎。煉瓦のような色をした赤い木質の壁が印象的です。

「一連の問題はべつにして、この校舎の建築意匠は特徴的であり評価できる」といった声も一部からはあがっているようです。



校舎の設計を担ったのは、アキラ建築研究機関。そして、この学校の設計は、サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)評価・実施支援室による2015年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。

そして、採択事例集には、この校舎を建築するプロジェクトの概要や提案点などが書かれています。

「主体構造となる鉄骨の構造フレーム等を検討し、建物内外を木
質化することで、主体構造が鉄骨造でありながら、実際の視覚的には、大規模な木造校舎を再現することを目指している」

「主体構造となる鉄骨を、150mm角の柱によるブレース構造とし、法規上の耐火与件を満たしながら、 4寸〜5寸角と筋違による木造フレームと変わらない寸法で納め、内外にわたって木質化することで、 これまで防火地域では不可能だった大規模な木造校舎および体育館を、再現する」

「建物の内外部、また教室の床材に、杉材等の木質材料を使用することで、教室空間の、調湿、清音化を図り、アトピー等の児童らにとっても、優しい教育環境を生み出す」

木質で校舎の外観などを表現することに力点が置かれ、工夫もなされているようです。ブレース構造とは、骨組みの対角線上に斜め材を入れて横からの力に耐えやすくした構造のこと。アトピーなどの病気をもつ子どもにも配慮した設計になっているようです。

「評価のポイント」も記されてあり、「鉄骨造ではあるが、建物内外を木質化することで視覚的に大規模な木造校舎を再現している。内装と外装の木質化された学校として地域の教育機関を通して波及効果が期待できる」とあります。



かつての小学校や中学校の校舎といえば木造でした。その後、1970代以降から鉄筋コンクリート製の校舎につぎつぎ建てかえられていき、「ハモニカ型校舎」ともよばれる、長廊下にいくつもの教室が配置された3階ないし4階建ての校舎が主流となっていきました。

「瑞穂の國記念小學院」の校舎や体育館は、そうした画一的な校舎の建築設計とは対照的なものといえましょう。「一連の問題はべつにして、評価できる」という一部の声に、「たしかに問題は問題だが、建築設計は建築設計」と理解できる人もいるかもしれません。

参考資料
毎日新聞 2018年4月23日付「森友文書改ざん 佐川前理財局長を事情聴取 大阪地検」
https://mainichi.jp/articles/20180424/k00/00m/040/050000c
瑞穂の國記念小學院前掲示「建築基準法による確認済」
http://img-cdn.jg.jugem.jp/b82/15839/20180424_2677591.jpg
サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)評価・実施支援室「平成27年度木造建築等技術先導事業報告書(事例集)防火地域に新築される小学校の校舎及び体育館の木質化についてのプロジェクト」
http://www.sendo-shien.jp/28/case/download/jirei42.pdf?20170410
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