科学技術のアネクドート

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消化・吸収も、のんびり、ゆっくり


人の活動の速度がどんどん高まってきている。それをあまりよくないと感じている人は、生きものののんびりゆっくりした生きかたに「われもああなりたい」と憧れをもつものかもしれません。

のんびり、ゆっくりといった印象をあたえる生きものといえばなにがあるでしょうか。ナマケモノ、ナメクジ、ヤモリ……。

なかでもカメはその代表格ではないでしょうか。人に「世界のうちでお前ほど歩みの遅いものはない、どうしてそんなに遅いのか」と驚かれるくらいです。

カメは、すばやく動くことをしなくなったかわりに、ほかの大きな生きものから餌として食べられないようにするため甲羅を身につけるようになりました。カメのなかには時速0.3キロメートルでしか動けないけれど、頑丈な甲羅で身をまもってきたため、2億年も存続している種もあるといいます。恐竜の時代から生きつづけてきたわけです。

カメののんびり、ゆっくりとした動きは外見だけにとどまらないようです。食べた餌をからだのなかで消化・吸収して、糞としてからだの外に出すまでの時間も、人などからすれば、とてもゆっくりしているといいます。

カメには歯がありません。そのかわりに強力な嘴と舌はあります。このふたつの器官で、餌を噛みきったり砕いたりしています。

食べた葉っぱなどの餌は食道を通っていきます。その後は、ヒトのからだとはちがって肝臓を通り、それから胃に向かいます。人の胃は蠕動運動をしたり胃液を出したりして、消化・吸収の一部を担っていますが、カメの胃にはそれほどの役割はなく、貯蔵庫としての餌を貯めておく役割にとどまるそうです。

その後、葉っぱなどの餌は腸へと向かいます。人とおなじようにカメにも腸内細菌がたくさんいて、これらの細菌の発酵作用によって、消化が進んでいきます。しかし、その速度はゆっくりとしたものであり、何日もかけて消化がなされるといいます。

1匹ずつのカメは「ゆったりと生きよう」といった意思をもって生きているわけではありません。進化の過程で、そういう生きかたにはまっていっただけのことです。そんな結果としてののんびり、ゆっくりした生きかたは、のんびり、ゆっくりとできない生きかたをしている人からうらやましがられています。

参考資料
北村雄一『大人の恐竜図鑑』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07BBM6WLM
けい動物医療センター「亀(カメ)の飼い方」
https://kei-animal.com/about/turtle.html
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