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油揚げでなくあんぱん(こしあん)をさらわれる


のどかな日曜日の午後、ある地方都市の駅前広場のいすで、ある人があんぱんとコーヒー牛乳を食べようとしていました。あんぱんは県内の有名パン屋で買ったものです。

コーヒー牛乳を飲んでいると、ほどなくして向こうからドバトが近づいてきました。お目あてはあんぱんのようです。しかし、野鳥に餌をあげるまいと、あんぱんを右手にもちながら、「あっち行きな、しっし!」とドバトに向かって左手で払うしぐさをしていました。のどかです。

するとつぎの瞬間、「ぶふぉぁーん」と音がし、右手にもっていたあんぱんがすでになくなってしまいました。この人の視界に入ったのは猛禽類が飛びさる後ろ姿。両脚であんぱんをしっかりつかんでいます。旋回し、大空へと向かっていってしまいました。

あんぱんをねだる小型鳥類を蹴散らそうとしていた高機能とされる哺乳類が、猛禽類にあんぱんをかっさらわれたわけです。ちなみにそのあんぱんは“こしあん”だったようです。

タカやワシなどの猛禽類は、基本的には肉食とされます。「猛禽」の「禽」という字には「生捕りする」といった意味があるため、そもそも「猛禽類」といえば肉食ということになるわけです。

しかし、猛禽類ながら肉食のみでなく、雑食であるという例外の鳥もあります。この人の右手に持っていたあんぱん(こしあん)を滑空してきて奪いとったのは、トビではないでしょうか。トビはタカの仲間ですが、とにかくなんでも食べることが知られています。「鳶(とび)に油揚げをさらわれる」ならぬ「鳶にあんぱん(こしあん)をさらわれる」ことになったわけです。


トビ。

猛禽類は一般的に視力に長けているため、空高くからも獲ものにねらいをつけることができます。あんぱんぐらいの餌だと、上空100メートルくらいを飛んでいても視覚でわかるといいます。人の視力でいうと8.0ぐらいになるといいます。

しかし、それにしても、このトビは、どうしてあんぱんを餌だと認識することができたのでしょうか。100メートルも離れていれば、嗅覚で「食べられそうないい臭いがする」とは認識できますまい。

鳥類全般にいえることですが、鳥は手に入れた餌を慎重についばみ、食べられるものを食べ、食べられないものは食べずに避けるといいます。この生態からすれば、このトビは、人があんぱん(こしあん)と認識している物体を、まず獲ってみて、その後、落ちついた場所でついばんで「食べられるぞ」と認識して食べることになるのかもしれません。

しかし、もうひとつ、動物には「学習」というしくみがあります。過去におなじようなものを食べていたとしたら、学習により「これも食べられるだろう」となるわけです。あんぱん(こしあん)をかっさらったトビは、過去にも動物が携えているおなじような餌をかっさらって食べた経験があったのかもしれません。

完敗を認めざるをえなかったその人は、コーヒー牛乳のみであきらめたそうです。そして、相かわらずドハトはあたりを行ったり来たりしていたのでした。

参考資料
知識の宝庫! 目がテン! ライブラリー「油あげ好き!?トビの謎 #678 (2003/04/20)」
http://www.ntv.co.jp/megaten//archive/library/date/03/04/0420.html
サントリー 日本の鳥百科「トビ」
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1473.html
Yahoo!知恵袋「鳥はどうやって『食べ物』を識別しているのでしょうか?」
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1115081051
教えて!goo「動物は何を基準に、餌を餌と判断するか。」
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/4552764.html
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