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「波」が示され「粒」が示され「光の波動と粒子の二重性」がいわれだし

画像作者:Zappys Technology Solutions

このブログの(2018年)3月8日(木)の記事「光の正体が『粒』か『波』かでかつて対立」では、光は粒としての性質と波としての性質の両方をもちあわせているものの、中世から近代にかけては「粒子説」と「波動説」が対立していたという話がありました。

では、光の正体が「粒」でもあり「波」でもあるということは、どのようにわかったのでしょう。

まず、光の波としての性質については、クリスティアーン・ホイヘンスが説を唱え、ジェームズ・マクスウェル(1831-1879)が理論的に発見しましたが、実験でも明らかになっていました。

1805年ごろ、英国の物理学者で「波動説」を主張していたトーマス・ヤング(1773-1829)が、のちに「ヤングの実験」とよばれるようになる実験をしました。これは、敷居に「 | | 」 のような複数の細長い穴を開け、手前から光を照らすと、敷居の向こうの壁に、光が干渉したことによる縞模様が映るというもの。

干渉とは、ふたつ以上のおなじ種類の波が一点で出あうとき、その波の振幅はそれぞれの波の振幅の足し算として表せることを指します。光を発したら干渉が生じたということは、つまり、光は波であることを示しているわけです。

いっぽう、光の粒としての性質については、19世紀後半から20世紀はじめごろにかけて示されます。

1888年、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・ハルバックス(1859-1922)が、金属に光をあてると金属は正に帯電し、また、あらかじめ負に帯電させていた金属は帯電しなくなることを発見しました。

さらに、1902年にハンガリー出身でドイツで活躍した物理学者フィリップ・レーナルト(1862-1947)は詳しく調べ、この現象は、光を当てると金属から電子が飛びだすからだということを明らかにしました。これは「光電効果」とよばれています。

そして、この光電効果を、量子の概念と結びつけたのが、ドイツ生まれの物理学者アルバート・アインシュタイン(1879-1955)です。

量子とは、連続的でなく、とびとびの値で表される物理量の最小単位のこと。アインシュタインは、光のエネルギーは、電磁波の振動数と、「プランク定数」とよばれる物理の定数とをかけ算したものであって、このエネルギーは「光子」とよばれる光の粒子1個がもつものだと考えました。

光電効果が起きているときは、光子1個のもつエネルギーを電子が受けて電子が飛びだしているわけですが、そのときの電子はある一定以上のエネルギーを受けないと飛びだしません。

つまり、光子1個のもつエネルギーは、電子を飛びださせるか、電子を飛びださせないかのどちらかでしかなく、その中間はないことになります。つまり、光子のエネルギーの量が増えるときは、いわばエネルギーの値が「1」「2」「3」ととびとびに増えていくのであり、「0.5」や「1.7」や「2.4」といった中間どころの値にはならないわけです。つまり、光子は量子であるわけです。

波としての光で表現される振幅などの値は、とびとびでなく連続的なもの。いっぽう、光電効果から導きだされた光子のエネルギーの値はとびとびの量子的なもの。相容れません。

そこで、アインシュタインは、光を量子のとるエネルギーをもつ粒として考えればいいのだと唱えたのです。

こうして、時代を経て、べつべつに光の波としての性質の説明と、光の粒としての性質の説明が両立するようになりました。光は粒子と波動の二重性をもっていると考えざるをえなくなったのです。

参考資料
ウィキペディア「ヤングの実験」
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤングの実験
世界大百科事典「ハルバックス,W.L.Fの言及」
https://kotobank.jp/word/ハルバックス%2CW.L.F-1395598
原子「波動性と粒子性(前期量子論)」
http://www15.wind.ne.jp/~Glauben_leben/Buturi/Gensi/Gensibase2.htm
アインシュタインの科学と生涯「アインシュタインの光量子仮説」
http://koshiro56.la.coocan.jp/contents/relativity/contents/relativity3005.html
加藤初弘「量子論の基礎概念」
http://www3.ms.yamanashi.ac.jp/kato/Lectures/QM/QM00.pdf
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