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量子テレポーテーション、成果つぎつぎと


写真作者:Cianan O'Dowd

ある場所にある粒子の状態についての情報を、量子力学の特性を使って、べつの離れた場所に粒子に瞬間的にうつすことを「量子テレポーテーション」といいます。

このふたつの場所にある粒子は「量子もつれ」とよばれる関係にあります。量子もつれとは、ふたつ以上の量子が古典力学では説明できないような相関をもつことを指します。量子もつれの状態にある粒子どうしは、たがいが離れた場所にあってもその関係性を保っているため、その粒子の片方に作用をあたえると、離れた場所のもう片方にも瞬時に作用がおよぼされるわけです。

いま、量子テレポーテーションの研究はどこまで進んでいるのでしょうか。

「衛星を使った量子鍵配送と量子テレポーテーションに成功」という話題が、英国の科学誌『ネイチャー』に載りました。この記事によると、中国科学技術大学の廖勝凱氏らと任継剛氏らはそれぞれ、地球周回軌道をまわる衛星と地上の局とのあいだでの量子通信を成功させたことを2017年9月『ネイチャー』に発表しています。通信距離がこれまでより数百キロメートル延びたことが、この研究成果の意義として評価されています。

さらに、中国では、上海交通大学の研究チームが量子テレポーテーションを海水のなかでおこなう実験が2017年におこなわれ、成功したと報じられています。

いっぽう、日本では、量子テレポーテーションの応用として、「究極の大規模光量子コンピュータ実現法を発明」といった話題がのぼっています。東京大学の古澤明教授や武田俊太郎助教は、ひとつの量子テレポーテーション回路を無制限にくりかえし用いることで大規模な量子計算をおこなえる方式を発明しました。従来の方式では、数十量子ビットが限界でしたが、この新方式では原理的には100万個以上の量子ビットを処理できるということです。

量子力学は、日常の感覚では想像できないような原理や効果を見いだせるもの。それを応用するための研究も進んでいるわけです。

参考資料
はてなキーワード「量子テレポーテーション」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CE%CC%BB%D2%A5%C6%A5%EC%A5%DD%A1%BC%A5%C6%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3
ウィキペディア「量子テレポーテーション」
https://ja.wikipedia.org/wiki/量子テレポーテーション
ネイチャーダイジェスト 2018年1月30日付「衛星を使った量子鍵配送と量子テレポーテーションに成功」
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v15/n1/衛星を使った量子鍵配送と量子テレポーテーションに成功/90554
カラパイア2017年9月7日付「史上初、水中での量子テレポーテーションに成功」
https://news.biglobe.ne.jp/trend/0907/kpa_170907_5991946589.html
東京大学・科学技術振興機構 2017年9月22日発表「究極の大規模光量子コンピュータ実現法を発明 1つの量子テレポーテーション回路を繰り返し利用」
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20170922/index.html

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