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2017年の科学の画期的成果、第1位は「宇宙での合体」


米国科学振興協会(AAAS:American Association for the Advancement of Science)は(2017年)12月21日、「2017年の科学における画期的成果」(2017 Breakthrough of the Year)を同協会が発行する科学雑誌『サイエンス』に発表しました。

毎年、『サイエンス』では、第1位の成果を一つと、次点の成果を九つ挙げ、解説を加えています。

第1位の成果は、「宇宙での合体」(Cosmic convergence)と題したもの。中性子からなる星であり、1立方センチメートルの質量が1千万トン以上になる「中性子星」の合体を観測したという成果です。

2017年8月17日、130億光年の距離にある二つの中性子星が、大爆発のなかで、らせんを描くようにぶつかりあったのを世界中の研究者が観測したといいます。

同誌が「特筆すべきこと」としているのは、このできごとの発見のされかた。宇宙そのものの微小なさざなみである「重力波」を地球上の観測設備で検出したのです。

重力波は、重力場が波動のかたちとなって光速で伝播するもの。アルバート・アインシュタイン(1879-1955)が理論的にその存在を推論していました。この重力波は2016年、米国ルイジアナ州にある「レーザー干渉計重力波観測所」(LIGO:Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)で実際に観測され、これが2016年の「科学における画期的成果」の第1位となっていました。そのとき検出された重力波は、巨大な二つのブラックホールが合体したときのものでした。

同誌は「(2016年の)観測が発見のクラリオンであるとすれば、今年の成果は科学の交響曲のようなものだ」としています。クラリオンとは金管楽器のこと。ブラックホールは巨星が崩壊して一点になったときに残りつづける幽霊のような重力場であり、熱くなることも、ものを放出することもありません。対象的に、中性子星は、ほぼ中性子からなる球状のものであり、極めて高密度な物質がそこに詰まっています。ブラックホールの合体は重力波によってのみ検出されたのに対して、2017年の中性子星の合体はガンマ線から電波まで、光のすべての波長において観測されました。これを「クラリオン」と「交響曲」のちがいとしているようです。

観測技術の発達によって、これまで観測されたことのなかった宇宙における現象が、これからも観測されていくかもしれません。『サイエンス』はその一例として、中性子星とブラックホールの合体を挙げています。

そして、スタンフォード大学で研究する英国の理論物理学者ロジャー・ブランドフォードの「もっとも刺激的なのは、天文物理学者が予想だにしていなかったような信号。期待に反するようななにかを見ることができたらいい」という談話を紹介して、解説記事をしめくくっています。

『サイエンス』2017年の科学における画期的成果の第1位の記事「宇宙における合体」はこちらです(英文)。
http://vis.sciencemag.org/breakthrough2017/finalists/#cosmic-convergence

あす31日(日)は、次点に選ばれた九つの成果を紹介する予定です。

参考資料
EurekAlert! 2017年12月21日付「サイエンス誌の2017年ブレークスルー・オブ・ザ・イヤーは2つの中性子星の合体の観測に決定」
https://eurekalert.org/pub_releases_ml/2017-12/aaft-4121817.php
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