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むずかしさを超えたところに質の高い対談記事

画像作者:Museomix Rhône-Alpes

「対談」という伝えかたがあります。辞書どおりの意味だと、対談とは2人の人が向かいあって話しあうことなので「対談という伝えかた」というのは「1人対1人」と考えると奇異に聞こえるかもしれません。

しかし、本、雑誌記事、インターネット記事などでは「対談」という形式で伝えたいことを読者に伝えることがよく見られます。つまり、記事を対談形式にして、その内容を読者に伝えるわけです。

ただし、対談は、いろいろな意味で「むずかしい」ともいわれます。

まず、対談を実現させることのむずかしさがあります。

たとえば、ある本の著者が、前々から話してみたかった人と対談をして、その内容を自分の本のなかに入れようとしているとします。しかし、その対談相手が著者のことを知らないとなると、「ちょっと忙しいので」と、断られてしまうこともあります。言外には、「だれですか。知らないのですが」という意味がこめられてることもあるでしょう。2人がともに対談する相手を知っていれば、対談の実現度は高くなります。

対談が実現したとしても、充実した内容にさせることのむずかしさがあるかもしれません。2人の話が噛みあわない場合もあるからです。

あるひとつの主題をもとに対談を繰りひろげようとしていたところが、2人の知識の量や関心の度合に差がありすぎて、話が盛りあがらないといったものです。こうした場合は、たとえば、原稿の書き手が進行役を担うなどして、2人の話を盛りあげていくことが重要になります。

そして、読者に興味をもってもらうことのむずかしさもあります。

読者は2人の対談者のうちどちらかだけを知っているという場合もあるものです。たとえば、1人はその読者にとって興味深い人であるいっぽう、もう1人はこれまで知らなかった人という場合、どうしても知らなかった人の話に興味はわきづらいものです。

また、本や記事では、著者や執筆者が1人で伝えたいことを書いて伝えるという形式が基本のかたちとなっています。対談形式とは、2人の人の“おしゃべり”が繰りひろげられる、いわば例外的な形式ともとれます。よほどその“例外”が惹きつけるものでなければ、読者は“いつもの読みごたえ”のようなものを感じられないものです。こうした理由もあるのでしょう、対談形式の本は、なかなか売れないといわれています。

しかし、こうしたむずかしさを乗りこえて、対談者どうしがおたがいに興味深く自分たちの考えを交わしあい、読者が2人に対してともに興味をもっていて、実のある内容となっていれば、1人の人が書く本や記事よりも質の高い記事になる可能性はあります。

「インタビュー」(interview)ということばは、ものの見かた(view)を交わすということ(inter)。語感としては対談こそがインタビューとよぶにふさわしいのです。

参考資料
デジタル大辞泉「対談」
https://kotobank.jp/word/対談-557756
大辞林 第三版「対談」
https://kotobank.jp/word/対談-557756
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