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「何度を超えると」の根拠、見つかるものも、見つからないものも


魚類では、餌を食べるのに適した温度域や、母が産卵できる温度域などが、厳密に決まっています。たとえば、アユの餌を得るのに適した水温は15度から22度。また、産卵できる水温は14度から19度といいます。

魚類ほど厳密でなくても、人の暮らしでも「何度を超えるとどうなる」といった、気温とからだの変化の関係性がいわれています。とくに、夏場は、気温が高くなるため、人びとの関心も高くなりがち。

気温25度を超える日を「夏日」といいます。25度を超えると、アイスがよく売れるようになるといいます。日本アイスクリーム協会が男女600人に聞いたところ、半数以上が「アイスクリームをおいしく感じる気温」として、18度くらい、20度くらい、25度くらい、30度くらいのうち「25度くらい」と答えたそうです。このことから、「25度を超えたらアイスがよく売れる」といわれるのでしょう。

また、近ごろ、「冷房は28度」という推奨温度には科学的根拠がないということを役人が述べたと話題になりました。いっぽう、過去には「気温26度を超えると、人びとの事務所での作業効率が急に低くなる」という研究結果があったようです。労働衛生学者の三浦豊彦(1913-1997)が1960年代後半、事務所の冷房温度と仕事の成否について調べた研究を拠りどころにしているもののようです。半世紀ほど前のデータなので、いまの人びとの感覚にも通じるのかはわかりません。

28度を超えると、多くの人では、じっとしていても汗をかくことになるようです。からだが36度から37度くらいの温度を保とうして調節機能がはたらき、体温の上昇を抑えるために汗が出るということです。おなじく28度は、熱中症の人が多く現れる気温ともいわれています。

30度を超えると、今度はアイスクリームよりも、かき氷のような氷菓子のほうが売れるようになるといわれます。感覚的には、気温が高いほうが、冷たい菓子でもよりさっぱりとしたほうを好む、ということはわかりますが、すくなくともインターネット上では、どのような根拠でこれがいわれているのかは、見あたりません。経験則として十分かもしれませんが。

近年は、気温が35度を超える「猛暑日」が多くなっているとされます。20度代や30度前後であれば、「人は何々するようになる」といった話は多くあります。しかし、35度を超えるともなると、「人はなにもしたがらず、ただ冷を求める」となるのではないでしょうか。

参考資料
国土交通省「主要魚介類の生息水温等の報告事例」
http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/info/ecosystem/ecosystem7.pdf
チェリオ オヤツハッカー「アイスの“美味しさ”と“能力”を最大限に引き出す「25℃」のマジックに注目!」
http://www.cheerio-oyatsu-hacks.jp/07/293
ハフィントンポスト 2017年5月11日付「クールビズの冷房28度、当時の環境省課長『なんとなく決めた』科学的根拠なし」
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/11/cool-biz_n_16555154.html
kes Information No.52「事務所での作業効率『26℃を超えると低下』」
http://www.kes-eco.co.jp/pdf/n_0035.pdf
デジタル版 日本人名大辞典+Plus「三浦豊彦」
https://kotobank.jp/word/三浦豊彦-1111966
からだ環境総研「夏バテしないさせない」
http://kokaken.jp/nl/nl15.html
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