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地球外生命体のいるかもしれない天体を覗く――(1)エウロパ
近ごろ、地球外生命をめぐる本やテレビ番組の特集がよく見られます。

昔から「地球以外にも生命体はいるのか」といったことが、話題になってはいました。しかし、このところは「地球以外の生命体はどこにいるのか」といった話題に変わりつつあります。生命が誕生するのに適する環境の条件がわかってきたことや、太陽系の惑星のまわりにある衛星、それに太陽系外の惑星やその衛星の観察などの技術が進んだことが背景にあります。だんだんと「見えてきた」ため、「いる」という期待も膨らんでいるわけです。

では、実際に、どの天体に「地球外生命体がいるのではないか」といわれているのでしょうか。それぞれの天体を整理してみます。

地球から近いところでは、木星の惑星「エウロパ」に、地球外生命体が存在するという期待がもたれています。


エウロパ
写真作者:NASA/JPL-Caltech/SETI Institute

エウロパは、1610年、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)が発見した、木星の衛星です。木星には、2015年までに69個の衛星が見つかっていますが、「四大衛星」といわれるのが、イオ、エウロパ、カリスト、ガニメデです。エウロパは半径1565キロメートルで、この4個のなかでは最小の衛星です。

どうして、エウロパに地球外生命体の存在への期待がかかるのか。大きくは、エウロパが生命が生きるうえで必要とされる、水、エネルギー源、それにいくつかの化学物質が揃っているからです。

エウロパの表面は、厚い氷で覆われています。さらに、木星の重力による影響などで、潮汐加熱という熱が発生し、これが氷をとかしています。氷の下は、大きな海が広がっていると考えられています。

また、エネルギー源の発生についてはどうかというと、水素の存在が注目されています。地球の一部の微生物では、水素をエネルギー源として生きているものがあるためです。

実際、エウロパでは、水素の発生の証拠のひとつとなる「蛇紋岩化作用」という作用があると考えられています。この作用は、マグネシウムに富む鉱物が、蛇紋石という岩石に変化するもの。この作用のなかで、液体水素がつくられます。

こうしたことから、エウロパに地球外生命体がいるという期待がかかっています。

米国航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)は、2020年代にエウロパを探査する宇宙機「エウロパ・クリッパー」を打ちあげる予定です。生命の存在に欠かせないと考えられる、水、エネルギー源、そして化学物質の存在を詳しく調べようとしています。

参考資料
CNN 2017年4月14日付「地球外生命の可能性、木星と土星の衛星が有力に NASA」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35099802.html
WIRED 2016年6月19日付「木星の衛星『エウロパ』の海は、生命を生み出しうる:研究結果」
http://wired.jp/2016/06/19/oceano-europa-chimica-vita/
BBC NEWS JAPAN 2017年4月14日付「土星の衛星に『生命育む環境』 米NASAなど水素分子を確認」
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39597609
岩石学辞典「蛇紋岩化作用」
https://kotobank.jp/word/蛇紋岩化作用-780431
ウィキペディア「エウロパ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/エウロパ_(衛星)
AstroArts 2017年3月23日付「エウロパ探査計画の正式名称は『エウロパ・クリッパー』」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9023_europa_clipper
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