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科学ジャーナリスト賞2017、佐々木健一さん「米国でかかわった人に話を聞くべきと思った」
「科学ジャーナリスト賞2017」では、NHKエデュケーショナル特集文化部ディレクターの佐々木健一さん、統括プロデューサーの高瀬雅之さん、NHK編成局コンテンツ開発センターのエグゼクティブ・プロデューサー丸山俊一さんにも賞が贈られました。2016年5月2日に放送された番組「ブレイブ 勇敢なる者『Mr.トルネード 気象学で世界を救った男』」に対してです。

番組は、米国に渡った日本人の気象学者、藤田哲也(1920-1998)のダウンバースト(下降噴流)の研究とその成果などを伝えるものです。「ミスター・トルネード」ともよばれた藤田の功績により、ダウンバーストによる飛行機事故は大幅に減少しました。

受賞者を代表して、佐々木さんが受賞のスピーチをしました。下記はその一部の抜粋です。


佐々木健一さん

「このたびはありがとうございます」

「(取材先の)米国で関係者に会うと、かならず逆質問をされました。『日本人がテッド(藤田の愛称)のことをあまり知らないとはほんとうか』と。『それは異常な感じがする』と言っていた人もいました」

「この方(藤田)は『ミスター・トルネード』とニックネームでよばれていましたが、番組で扱われたのはダウンバーストという現象で、トルネード(竜巻)とは根本的にちがいます。(気体を)上から下に叩きつけて広がる現象で、それが飛行機事故の原因だと、藤田は最初に提唱したのです」

「藤田の研究歴では、竜巻の研究の時間以上にダウンバーストを研究しました。いろいろな反対を受けながらも、実証するをがんばりました。10年間、認められていませんでしたが、実証して、いまはダウンバーストによる飛行機事故はほぼない状況です」

「2年ほど前に、本屋の気象学のコーナーに立ちよって、なぜか米国の作家が書いた『嵐の正体にせまった科学者たち』(ジョン・D・コックス著、堤之智訳、丸善出版)という本を目にしました。28人の歴代気象学者の列伝です。その27番目に、“テツヤ・テオドール・フジタ、ダウンバーストを見抜く”とありました。気象学史においてこれほどの偉業はないと、短い文章ですが、書かれていました。これはすごいと思いました」

「日本で過去に放送されたものは、ほぼ、ご本人の回顧録をもとにしたものでした。取材者として、ご本人が書いたものを信じ切ってよいのかということがあり、米国に行ってかかわった人に話を聞くべきだ、と思いました。取材では、泣き出す人物もいました。そのぐらいの人物だったのです」

「今回、賞に選んでいただいたのは、この番組にとって名誉なことです。もっと多くの人に藤田のことを知ってもらいたい」

賞の対象作品となった番組「ブレイブ 勇敢なる者『Mr.トルネード 気象学で世界を救った男』」は、あす(2017年)5月20日(土)午前1時25分から、NHK総合テレビで再放送の予定です。NHKの「もっとドキュメンタリー」サイトでの番組案内はこちらです。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92225/2225351/

日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
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