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科学ジャーナリスト賞2017、「ゲノム編集」取材班「取材実感をできるだけ書いて」
「科学ジャーナリスト賞2017」では、現在、NHK広島放送局放送部副部長の松永道隆さんに賞が贈られました。NHK「ゲノム編集」取材班著『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』(NHK出版)の著作に対してです。

松永さんの代理で、取材班のメンバーが登壇し、現在「NHKニュースウォッチ9」を手がけている東條充敏さんがスピーチをしました。下記はその一部の抜粋です。


「ゲノム編集」取材班メンバーと代表してスピーチする東條充敏さん(右)

「このたびは科学ジャーナリスト賞をいただき、ありがとうございます」

「(受賞者代表の)松永も私も京都放送局におり、iPS細胞の取材をかなりやっていました。山中伸弥先生がノーベル賞を受賞した時期でした」

「3年前、『クローズアップ現代』で、iPS細胞を医療に活かすといった趣旨の番組をつくっていた深夜の編集室で、松永が突然『iPSを上まわるかもしれない、すごい技術がある。10年に一度の技術と言われている』と語りはじめました。それはやるしかないと着手しました」

「さっそく調べようといういことになり、放送日を決めて、関西地域で30分の番組を制作しました。しかし、すごい技術という割には、映像化できるものがかぎられていました。“白いカエル”がゲノム編集の象徴と言われていましたが、それを夜7時30分からの番組で放送するのか、すごい技術と伝わるだろうかと議論を始めました」

「取材をみんなでしていくなかで、本質的にゲノム編集が役に立つとされる医療をテーマに番組をやろうとなりました。なかなか(取材できる)現場が見つからないなかで、米国でゲノム編集を使ってHIV(ヒト免疫不全ウイルス)をなくすという研究があるという情報をつかみました。患者の方が応じてくれるかわからない状況で、取材を継続するのに悩みましたが、クルーを出しました。運よく、患者に出会えて、取材することができました。HIVを減らす効果があると、目の前で生身の患者の方が語ってくれて、本当に衝撃を受けました」

「『クローズアップ現代』で山中先生をゲストに呼んで放送したところ、番組を見ていたNHK出版の編集担当からご連絡をいただき、『ぜひ本にしたい』と言われて本にすることにしました」」

「テレビで伝わるものはかぎられています。取材実感、人に会いに行って、なにを感じて、どんな疑問をもって、なにに感動したのかを伝えにくいものです。(本にするにあたってメンバーには)会った人の印象などをできるだけ書いてもらいたいとお願いしました。テレビとくらべて、取材者の驚きが入っているので、より身近な技術として感じてもらえたのではないかと思っています」

「ゲノム編集の番組をつくっていると、いろいろな人から『気もち悪いね』と言われます。『タイが大きくなるってなんなの』と。われわれも、つねにそうしたことを意識しています。とくに受精卵に触れてもよいのかどうかは、いまも議論がされています。これからもどうなるか、見ていきたいと思っています」

NHK出版による『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』の案内のページはこちらです。「“科学ジャーナリスト賞2017 ”を受賞!」と紹介もされています。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817022016.html
日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
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