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起伏10キロ走と平坦10キロ走、物理と実際でちがい

写真作者:Hajime NAKANO

日課などで走っている人のなかには、山地に住んでいる人もいれば、平野に住んでいる人もいます。山地に住んでいる人の走路は起伏に富むことでしょう。いっぽう、平野に住んでいる人の走路はほぼ平坦なことでしょう。

もし、出発地点と到着地点がおなじ場所であるとして、山地に住んでいる人と平野に住んでいる人がおなじ距離、走ったとき運動効果に差は出るのでしょうか。たとえば、グーグルマップで山道を1周する10キロメートルの走路と、平坦な街なかを1周する10キロメートルの走路を設定して、くらべたらどうなるのでしょう。

物理学の法則を重視すると、おなじ距離を移動したときの運動量は等しい、ということになります。物理学では「力学的エネルギー保存の法則」があります。力学的エネルギーとは運動エネルギーと位置エネルギーを合わせたものですが、外力の作用にない系ではそれは一定に保たれます。

起伏に富む走路と平坦な走路でのちがいは、高低差があるかないかとなります。たしかに坂道を登るときは、平坦の道を進むときよりも運動エネルギーをたくさん使います。しかし、坂道を登っている人は、その分、位置エネルギーを貯めていっていることにもなります。いわば消費できるエネルギーを貯めたことになるので、坂道を下るときに貯めた位置エネネギーを使えることになります。

いいかえれば、起伏に富む走路を走る人は、坂道を登るので大変だった分、坂道を下るので楽ができ、結局、使うエネルギーの総量は、平坦な道をおなじ距離、走る人と変わらない、ということになります。

しかし、これはあくまで物理学における理想的な条件での話。現実問題となると、体への負担はだいぶちがってきそうです。

まず、起伏のある走路を走るときは、上り坂と下り坂で、明らかに使う筋肉がちがってきます。

また、グーグルマップなどの地図上で「おなじ距離」を測って1周10キロメートルの走路を決めたとしても、起伏のある走路のほうが実際は10キロメートル以上の距離を走っていることになります。極端な話でいえば、傾斜45度のものすごい坂道を登ってまた降りて地図上の10キロメートルを走った場合、本当は直角二等辺三角形の長辺にあたる走路を移動していることにんるので、√2×10キロメートル、つまり約14.142キロメートルを移動していることになります。

これらのことから、おなじ距離で、出発地点と到着地点がおなじだとしても、起伏に富む走路を走るほうが、平坦な走路を走るより疲れるといえそうです。

参考資料
デジタル大辞泉「力学的エネルギー」
https://kotobank.jp/word/力学的エネルギー-657299
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