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工学の目標は「人類の幸福」――工学を知る(1)



小学校、中学校、高校で習う科目のよびかたと、大学や大学院で学ぶ科目のよびかたにはちがいがあります。そのため、高校生にとって、学校での授業の内容から大学で学ぶ内容を想像するのがむずかしい分野もあります。

理系の分野では、「数学」は、高校までの教科にあるため、扱う内容のちがいこそあれ、察しがつきます。「理学」は、高校の教科でにたことばに「理科」があります。そして、理学ではだいたい物理学、化学、生物学、地学などが扱われるので、高校で習うことと結びつけて考えることはまだできます。

しかし、「工学」となると、高校の授業とはなかなか結びつきません。教科に興味のある高校生や中学生は、中学校の教科にある「技術・家庭」のなかの「技術」がそれに当たるのではないかと考えるかもしれません。まったく重ならないわけではありませんが、「技術・家庭」の「技術」は、実際にものをつくるなどの体験が重視されており、かならずしも「工学」全体を示すものとはいえません。

では、工学という学問の特徴はどのようなものでしょう。

国語辞典には「工学」とは「基礎科学を工業生産に応用するための学問。機械工学・土木工学・電子工学などのほか、人間工学などその研究方法を援用した自然科学以外の分野のものにもいう」とあります。

基礎科学とは、学問とくに自然科学の分野の基礎の部分を扱う学問のこと。よく基礎科学と理学はにたようなものと世の中では捉えられます。そんな基礎科学を、工業生産つまり製品や品物をつくることに当てはめるための学問こそが「工学」というわけです。

しかし、「理学は基礎研究、工学は応用研究」という区別を「かならずしも当たらない」する研究者もいます。

工学博士で東京大学大学院工学系研究科教授の堀浩一さんは、「基礎か応用かという意味では、工学と理学の境界はかなり曖昧です。工学部でもほとんど理学部とかわらない基礎研究も行われています」と述べています。

では、理学と工学のちがいはどこにあるのか。堀さんは、「学問のめざすところの究極の目標の違いにあります。 ややおおげさな言い方になるかもしれませんが、工学の目標は人類の幸福、理学の目標は真理の探求です」と述べています。

研究者がなにをめざしてその学問を専攻しているかを考えるとき、工学を研究する工学者たちは「人類の幸福」を、理学を研究する理学者たちは「真理の探求」をめざすというわけです。

「人類の幸福」と「真理の探求」の意味するところは大きく異なるので、わかりやすい分けかたといえそうです。そして、真理の探求で得られた成果を人類の幸福のために使うという関係性も、理学と工学のちがいを理解するうえでは明確です。つづく。

参考資料
デジタル大辞泉「工学」
http://dictionary.goo.ne.jp/srch/jn/工学/m0u/
堀浩一「工学と理学の違い」
http://www.ailab.t.u-tokyo.ac.jp/horiKNC/representation_units/9

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