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どんな企業も「環境経営」が必要な時代に


20世紀の後半以降、どの企業も向きあわなければならない課題がいくつか生じました。経済や商業の地球規模化はそのひとつでしょう。

そしてもうひとつ、環境問題への対処もそうした課題のひとつになってきています。

企業が環境問題に対処していないことが見え見えだと、世のなかで人びとから「あの企業は環境問題を軽視しているだめな企業だ」という印象をもたれてしまいます。20世紀後半以降の公害や環境問題に対する社会の意識の高まりが、そうした風潮を強くしてきました。

ですので今日、企業が人びとから「だめな企業だ」と思われないためには、環境問題に対処しようとしなければなりません。そのため、環境問題への対処は、いま、どの企業も向きあわなければならない課題といえるわけです。

「環境経営」ということばも1990年代ごろから使われ、企業で意識されるようになりはじめました。環境経営は、「企業と社会が持続的に発展していくために、地球環境と調和した企業経営をおこなう」という考えかたにもとづいた経営のことです。

世界では1991年、国際商業会議所という機関が、「持続可能な開発のための産業界憲章」という大きなきまりを発表しました。

そして日本でも1991年、経済団体連合会が「経団連地球環境憲章」を発表し、このなかで環境経営の考えかたにつながる「行動指針」をうちだしました。

「経団連地球環境憲章」の行動指針は、「すべての事業活動において、(1)全地球的な環境の保全と地域生活環境の向上、(2)生態系および資源保護への配慮、(3)製品の環境保全性の確保、(4)従業員および市民の健康と安全の確保、に努める」という「環境問題に対する経営方針」の項目から始まります。

ほかの項目では、環境問題を担当する役員を任命するなどの社内体制の整備、環境対策や環境保全につとめるなどといった環境影響への配慮、省エネルギーと省環境資源の達成のための製品やサービスの開発のほか、緊急対応、広報・啓蒙活動、社会との共生、海外事業での環境配慮、環境政策への貢献、そして地球温暖化への対応といったことが謳われています。

企業が環境対策や環境保全をするとなると、そうしたことをしない場合ときよりも費用はかかります。ですので、一側面を捉えれば、環境経営に力を入れれば入れるほど会社の利益は減ってしまうということになります。

しかし、そうした見方は短期的なものであり、長期的に捉えると企業の利益につながるという考えかたもされています。

たとえば、環境省の環境配慮経営ポータルサイトにある「環境に配慮した経営」というページでは、つぎのように説明をしています。

「環境配慮経営は、事業活動に伴う資源・エネルギー消費と環境負荷の発生をライフサイクル全体で抑制し、事業エリア内での環境負荷低減だけでなく、グリーン調達や環境配慮製品・サービスの提供等を通じて、持続可能な消費と生産を促進します」

「その結果、持続可能な社会の構築が進み、さらに環境配慮型製品・サービスの市場が拡大していきます。こうした環境と経済の好循環を志向する戦略的対応に成功すれば、企業は持続可能な社会の構築に貢献するだけでなく、競争優位なポジションの獲得によって、自らの市場競争力を強化することが可能になります」

かんたんにいうと、環境に配慮した経営をすることで、持続可能性な“社会”が拡大するが、その貢献は自分たちの市場競争力を強くすることにつながりうる、というわけです。

環境経営をめざすとき、企業はこうした間接的であり、かつ効果が即時的でないとりくみを続けていけるかどうかが問われます。

ただし、企業の環境経営は、かならずしも社会貢献という間接的な文脈のなかで企業の利につながるということだけではなさそうです。たとえば、企業が環境経営の一貫として省エネルギーにつとめればつとめるほど、製造費などの費用を減らすことができます。これは環境経営が直接的に利益増大をもたらす一側面といえます。

参考資料
マネジメント用語集「環境経営」
http://www.weblio.jp/content/環境経営
経済産業省資料「我が国の環境経営の動向」
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0003150/pdf/h14_001_05_00.pdf
経済団体連合会 1991年4月23日発表「経団連地球環境憲章」
https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/1991/008.html
環境省 環境配慮経営ポータルサイト「環境に配慮した経営」
http://www.env.go.jp/policy/keiei_portal/about/
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