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新しい学習指導要領、理数教科では国際水準を意識、反復学習も


文部科学省が(2017年)3月に小学校や中学校などの新しい学習指導要領を発表しました。新しい指導要領をめぐっては、「聖徳太子とよぶか、厩戸王とよぶか」や、「パン屋では国や郷土の文化と生活が足りないのか」といった話題が沸きおこりました。

こうした人びとの関心や批評を招くような話題でない部分では、どのような改訂がおこなわれたのでしょうか。小・中学校の指導要領のなかでも、数学や理科の教育内容の改訂点を見てみます。

「改訂のポイント」という資料では、「理数教育の充実」を掲げ、その要点をふたつ示しています。

ひとつめは、「国際的な通用性、内容の系統性の観点から指導内容を充実」というもので、具体的には、小学校算数における「台形の面積」、中学校数学における「解の公式」、中学校理科における「イオン、遺伝の規則性、進化」をあげています。

このうち、「台形の面積」については、現行の学習指導要領では、文部科学省は「全員が共通に学習する内容としては、台形の面積の公式は示していません」としています。理由は「『正方形、長方形、三角形、平行四辺形の面積の求め方』を身に付ければ、それ以外の台形のような形の面積も、これらの面積の求め方を活用して自分で工夫して求めることができるから」というもの。

しかし、国際的な水準に沿ってみると、台形の面積の求めかたは内容に入れるべしとなったようで、新指導要領での改訂ポイントの具体例に記されています。

「解の公式」や「イオン、遺伝の規則性、進化」についてもおなじように、国際的な水準に沿ったのでしょう。

ふたつめは、「反復(スパイラル)による指導、観察・実験、課題学習を充実」というもので、これは算数、数学、理科のいずれにも当てはまります。

このなかの「反復(スパイラル)による指導」とは、改定「案」段階での説明によると、「複数学年にわたり指導内容を一部重複させるなど」とあります。従来は、1学年ごとに教える内容の重複は基本的にありませんでしたが、一部を重複させて反復することで、子どもたちに学習内容を定着させるねらいがあるようです。

また、昔にくらべておこなわれなくなったと言われている観察や実験を充実させたり、課題を解決するための力を養う学習を充実させたりする方針です。

学習指導要領全体としては、文部科学省の説明によれば、現行での「生きる力」をはぐくむ、といった基本理念に変更はないとのこと。ただし算数、数学、理科をふくむ授業数全体では、小学校も中学校も10パーセントほど増える予定です。これは上記の「反復」学習や、「観察・実験」などを充実させるためとしています。

学習指導要領は、文部科学大臣により公示される教育課程の基準。10年に一度ほどの頻度で改訂されています。新しい学習指導要領は、小学校では東京五輪とおなじ年の2020年度から全面実施、中学校では翌2021年から全面実施となります。また高校では、2018年度に改訂がなされ、2022年から年次進行で実施となる予定です。

参考資料
文部科学省「幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂ポイント」
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/1234773_001.pdf
ベネッセ養育情報サイト 2016年9月19日付「学習指導要領の改訂内容は? 実施時期は? 要点まとめ」
http://benesse.jp/kyouiku/201609/20160919-1.html
文部科学省 2008年1月17日「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/pamphlet/__icsFiles/afieldfile/2010/09/08/1234786_3.pdf
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