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講演の内容から逸脱した加筆修正はご法度

写真作者:Southern Arkansas University

雑誌などの記事には、さまざまな目的があります。そして、その目的により、記事づくりのためのおなじような作業でも、やってよい場合とやらないほうがよい場合に分けられます。

たとえば、あるもの書きが、研究者に「先生の研究をぜひ広く読者に伝えたいのです」と言って、記事づくりの協力を相談し、取材で語ってもらい、原稿をつくり、記事が載るまえに研究者に原稿を見せたところ、取材では語られていなかった話を研究者から加筆されたとします。

このときの記事の目的は、「先生の研究をぜひ広く読者に伝えたい」というものです。なので、たとえ取材で語られていなかったことを研究者が加筆してきたとしても、とくだん問題はありますまい。むしろ、加筆の内容が読者に伝える価値の高いものであれば、その加筆はありがたいこととなります。

いっぽう、べつのもの書きが、研究者たちの講演を再録する記事をつくるよう出版社から頼まれて、研究者の講演を聞き、原稿をつくり、記事が載るまえに講演した研究者に原稿を見せたところ、講演では語られてなかった話を研究者から加筆されたとします。

このときの記事の目的は、「研究者の講演の内容を再録する」というものですから、講演で語られていなかったことを研究者が加筆してきたとしたら、問題ありと考えねばなりません。聴衆の前で言ってもいなかったことが記事に載ろうとするのですから、再録という目的から逸脱することになります。

もちろん、講演の一言一句をおなじに再録するするのは、記事ではほぼ不可能です。しかし、講演を実際に聴いた聴衆が受けとめた感覚とおなじような感覚を再録を読んだ人が受けとめることはできます。そして、それが記事で実現できれば、講演を再録するという目的はかなったといってよいのではないでしょうか。

ですので、原稿を確認した講演者から加筆が、この範囲に収まっているものであれば問題なしと考え、この範囲を外れているものであれば問題ありと考えてよさそうです。

「先生、ご加筆なさったこの部分は、講演ではお話していなかったように思いますので、このご加筆はご遠慮いただけませんでしょうか」

すくなくとももの書きは、この講演者にこう伝えることはできます。むしろ、記事の目的を考えれば、加筆した部分を記事に反映させないようにする責務があるとさえいえます。
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