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入場者数伸び悩みの背景に「どこでも斜めから見下ろし」の可能性
東京スカイツリーの入場者数が、すこしずつ減っています。

2012年度は5月開業のため約10か月間ながら約554万人。2013年度は通年で約619万人に大きく増えました。ところが以降、2014年度は約531万人、2015年度は約479万人と減っていきました。

2016年度は、計画の数値では、前年より5万人すくない約474万人とのこと。「来場者減少が鈍化」(日本経済新聞)と、前向きな表現も見られます。しかし、前年を下まわる年が続いていることにちがいありません。

企業などによる分析が公表されているわけではありませんが、「スカイツリーからの眺めはスカイツリー1か所からのものでしかない」ということが、この入場者数の伸びなやみの原因のひとつになっているのかもしれません。

「スカイツリーからの眺めはスカイツリー1か所からのものでしかない」とは、つまり、スカイツリーの展望台の場所は、墨田区押上1丁目1番2号に固定されているということです。


東京スカイツリーからの眺め

「そんなのはあたりまえじゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、このあたりまえを超える眺めを、すでにインターネットでは得ることができてしまいます。

つまり、グーグルマップで、45度斜め上から地上を見下ろす航空写真のモードを使えば、あたかも空から都会の風景を俯瞰するような眺めを得られるということです。


グーグルマップ「航空写真」の45度斜め上から地上を見下ろした眺め
写真作者:グーグル

45度斜め上から地上を見下ろす航空写真の提供は2013年から始まりました。もちろん、スカイツリーのまわりだけでなく、渋谷、新宿、羽田空港、さらに大阪、京都、名古屋、福岡など、大都市のさまざまな地域で斜め上からの眺望を得ることができます。

日本だけではありません。ニューヨーク、パリ、香港などの世界の大都市でも45度斜め上から地上を見下ろす航空写真の画像をかんたんに見ることができます。

この「多くの場所で、斜め上から地上を見下ろす眺めを得られる」という感覚をすでに身につけてしまった人びとのなかには、スカイツリーの展望台にのぼっても「ここからの眺めは動かないんだよな」と感じる人もいるのではないでしょうか、たとえ無意識的であっても。

スカイツリーに分がある点もあるにはあります。

展望台のフロアを移動するだけで、北北東や南西などをふくめ、全方位の眺望を得ることはできます。グーグルの航空写真の斜め上からの画像で見られる景色は、いまのところ東西南北の4方位にかぎられています。

また、黄昏時の景色や夜景を全方位、見ることができるのは、いまのところスカイツリーなどの実際の建造物の展望室にいればこそ。

そして、実際に451.2メートルの高さの展望台までのぼったときの興奮を味わえるのもスカイツリーだからこそです。

しかし、こうした優位性はあったとしても「一度スカイツリーに行けばもういいや」と感じてしまう人はいるはず。その心の裏側には、やはり「グーグルマップの航空写真なら……」という感情があるという人はやはりすくなからずいるのではないでしょうか。

参考資料
東武鉄道など 2013年4月1日発表「東京スカイツリータウン®来場者数について」
http://www.tokyo-skytree.jp/press/upload/71d678d8943fb154f0299ba6727b31b9.pdf
日本経済新聞 2016年8月30日付「スカイツリー関連の収益底入れへ 東武、17年3月期」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06633470Z20C16A8DTA000/
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