科学技術のアネクドート

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「阿吽」は狛犬のみならず
「阿吽(あうん)」という熟語があります。梵語(サンスクリット語)の文字である梵字の、下の2文字を音にしたものです。その音は「a(ア)」と「hum(フーン)」と表現されることもあります。



この2文字は、密教で「宇宙の初めと究極」あるいは「万物の根元と宇宙が最終的に具現する智徳」を意味します。

「阿」は梵字の表音文字において最初に来るものであり口を開いて発音します。いっぽう「吽」は最後に来るものであり口を閉じて発音します。このことから「最初から最後まで」という意味を象徴しているともされます。

当然ながら仏教との結びつきも強く、たとえば寺社仏閣の庭や歴史的建造物の手前などに置かれた2頭の狛犬の像は、いっぽうが「阿」と口を開き、もういっぽうが「吽」と口を閉じています。



しかし、「阿吽」の対になっているのは狛犬だけではありません。

たとえば、仙台藩を治めていた伊達氏の家紋のひとつには、雀を意匠に使ったものがありますが、この2羽も、よく見ると左が「阿」、右が「吽」という口をしています。右の雀が左の雀の口のなかをついばんでしまいそうな近さですが……。



伊達氏の関連で言えば、初代大名の政宗などを祀った「瑞鳳殿」という霊廟にの屋根には「龍頭瓦」という青銅製の龍が置かれています。近くにいる龍の対も、やはり「阿」「吽」という口をしています。



寺社仏閣などで「対」となっているものを探すと、「あれも阿吽だ」「これも阿吽だ」と、さまざまな発見があるかもしれません。

参考資料
三省堂 大辞林「阿吽」
http://www.weblio.jp/content/阿吽
大谷大学「生活の中の仏教用語 阿吽」
http://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq0000000r1h.html
ウィキペディア「阿吽」
https://ja.wikipedia.org/wiki/阿吽
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