科学技術のアネクドート

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18世紀半ば「インド流」カレーのレシピが英国に――カレーまみれのアネクドート(84)

このブログの連載「カレーまみれのアネクドート」では、おもに日本国内の店などで食べられるカレーの味を伝えています。このたびは趣をかえて、カレーの歴史を見てみます。

日本のカレーが、インドからでなく、インドとの深いかかわりがあった英国から伝わってきたというのはよく知られる話です。日本人とカレーのかかわりからすれば、インドから英国にその料理が伝わったことが大切になるわけです。では、どのように、インドから英国に伝わったのでしょうか。

18世紀、インドはイスラム帝国のムガル帝国の時代にありました。とはいえ、1600年には英国の特権会社だった東インド会社がすでに成立しており、18世紀には東インド会社が、フランスの勢力とも争いつつ、インドの植民地化を進めていました。

そうしたなかで、1747年、英国の料理著述家ハナ・グラッセ(1708-1770)が、『料理法の技術、平易で簡単に』(The Art of Cookery, Made Plain and Easy)という本を出し、そのなかで「インド流、カレーのつくりかた」というレシピを紹介しています。これが、英国で出版された料理書として初めて、インドのカレーが紹介された事例とされています。

1758年版の、カレーのつくりかたがインターネット上にあるので見てみます。


“The Art of Cookery, Made Plain and Easy”1758年版の“To make a Currey the Indian Way.”

「2つの小さな鶏肉を用意し、皮をはぎ、切って、フリカッセのため、きれいに洗い、約1クォート(1.136リットル)の水で、煮ること約5分間。煮汁をこし、鶏肉をきれいな皿に置いておく」

「大たまねぎ3個を切って小さくし、バター2オンス(約57グラム)で炒める。そして、鶏肉とともに茶色くなるまで炒め、ターメリック4分の1オンス(約7グラム)、大さじ1杯のしょうがとつぶしたこしょう、お好みで塩を少々、加える」

「これらすべてを、鶏肉に火を入れつつ煮る。煮汁をかけながら、30分ほど煮込み、クリーム4分の1パイント(約0.14リットル)、そしてレモン2個の絞り汁を加え、加熱する」

「しょうが、こしょう、ターメリックは砕けたものにすべし、とてもよい」

フリカッセとは、鶏肉などを煮込んだフランス料理のことを指します。ここでは「煮込むため」といった意味でしょう。

鶏肉やたまねぎといった食材、それにターメリックやこしょうといった調味料を使い、煮ていくといった調理法は、いまにも通じる一般的なカレーのつくりかたといえそうです。

このようにして「インド流」のカレーが英国で紹介されることになりました。

おなじ18世紀には、その後、香辛料と米がインドから英国へともちこまれ、「カレーライス」がつくられるようになります。つづく。

参考資料
S&Bカレー「カレーの世界史」
http://www.sbcurry.com/dictionary/world/
wikipedia“The Art of Cookery made Plain and Easy”
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Art_of_Cookery_made_Plain_and_Easy
wikipedia“Hannah Glasse”
https://en.wikipedia.org/wiki/Hannah_Glasse

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