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「エリックサウス」のランチミールス――カレーまみれのアネクドート(70)


あらためて。国語辞典で「カレー」と引くと、こんなふうに記されています。

「淡黄色粉末の、非常に辛みのある香辛料。クミンカルダモンシナモン生姜(しようが)コエンドロ黒胡椒唐辛子フェヌグリークターメリックなど30〜40種の香辛料を配合して作る。インドが主産地で、熱帯諸国で盛んに用いる。カレー粉」(スーパー大辞林)

厳密には、インドには「カレー」とよばれる料理はありませんが、カレーという料理をかしこまって説明するとこうなるわけですね。

国語辞典には「インドが主産地」と、さらっと記されています。しかし、インドという国は広大です。地域によって、カレーの特徴もちがいます。

チェンナイ(マドラス)やバンガロールなどの都市をふくむ南インドでは、「ミールス」とよばれる料理が食べられています。ミールスは、「一日のうちの主となる食事」のような意味のことばで、日本ではざっくり「カレー定食」のようにいわれています。英語で「食事」を意味する“meal”の複数形が語源という説もありますが、発音は「ミールス」。通常の英語の文法では「ズ」とにごるところ、にごりません。

ミールスを食べられる東京の店としてよく知られているのが、八重洲地下街に構える「エリックサウス」です。カウンター席ばかりですが、出てくる料理はさすがミールス。本格的です。

昼どきのミールスの料理としてもっとも基本的なものが「ランチミールス」。豆のひきわりと野菜にサンバルマサラという香辛料を加えて煮こんだ「サンバル」とよばれる煮汁、トマトやタマリンドなどを黒胡椒やニンニクで味付けして煮こんだ「ラッサム」とよばれる煮汁、そして「本日の菜食カレー」と、お好みのカレー1種が「ターリー」という金属の小皿に入れられます。

写真の左奥の白い煮汁は、この日の「本日の菜食カレー」。茹でてすりつぶしたにんじんをヨーグルトで和えた「キャロットモール」とよばれる風変わりなカレーです。

ターリーを載せた大きな金属丸皿には、ほかにサラダまたはヨーグルトが入ったターリー、それに黄色いターメリックライスと白くて粒が細長いバスマティライスが盛られ、その上に煎餅状のババドが乗せられます。

日本でよく見られるインドカレー店で出される料理とは一線を画します。そのおもなちがいは、ナンがないことと、煮汁が濃厚なルゥでなく、さらさらしたスープであること。そもそも、4皿のターリーに入った汁物のうち、「カレー」といえるのは2皿のみです。

それぞれの煮汁を、ターメリックライスやバスマティライスにかけます。すると、すっと煮汁がライスの奥へと染みこんでいくので、これをかきまぜて食べます。バスマティライスには、もともと香ばしさがあって、これに煮汁の辛さが加わって独特の味に。

カレー食がこれだけ日本で普及しているなかで、「ミールス」という料理やことばは、それほど知られていません。そこには、これを「カレー」とよんでよいのかという人びとのためらいもあるのでしょうか。「カレーを一部ふくむ南インドの定食」というほうが適切なのかもしれません。

エリックサウスのホームページはこちらです。
http://www.erickcurry.jp
食べログ情報はこちらです。
http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13130363/
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