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「マンドルーラ」のプリンスカレー――カレーまみれのアネクドート(69)


津市は三重県の県庁所在地。県庁は津駅から徒歩10分ほどの広明町にあります。県庁のとなりには、県庁所在地なので三重県議会議事堂があります。議事堂らしく、全体的に立方体のかたちをした厳格な建てものです。

その県議会議事堂を正面から入った左奥にひっそりあるのが、議事堂喫茶室の「マンドルーラ」という店。マンドルーラ(mandorla)はイタリア語で、「最後の審判」のときイェス・キリストの体のまわりをとり巻いたアーモンド形の大きな後輪のこと、とのこと。絵画などの肖像の背後に、聖なるものの象徴として描かれます。

なぜ、この喫茶室の名が「マンドルーラ」なのかは謎の残るところですが、この喫茶室が「プリンスカレー」という名物的カレーが出されているのは明らかな事実です。

店前の看板や、店内の壁には「プリンスカレー」の説明が。

「昭和59年、ときの皇太子殿下(現天皇皇后両陛下)ご来県の御時。一年間の試行錯誤の後に完成した、特製カレーライスを献上しました。妃殿下からお褒めの言葉をいただいたそのカレーが、20数年の時を経てマンドルーラで復活いたしました」

宮内庁の情報によると、1984年10月3日から8日にかけて、当時の皇太子と美智子さまは三重県と京都府を訪問しています。

京都を巡ったあと、三重県では神宮(伊勢神宮)にご参拝されました。その折に、県内浜島町で開かれた「第4回全国豊かな海づくり大会」にも出席されています。その大会で皇太子と美智子さまにカレーが出されたのです。

このカレーをつくるのに携わっていたのが「ふじや本店」社長の柳川昌彌さん。「ふじや本店」は四日市市の葬儀会社ですが、「マンドルーラ」の運営もしています。柳川さんは、『女性自身』の記事で「お見送りした際、美智子さまから『おいしかったですよ』とのお言葉をいただいたことは、一生の思い出になっています」とのコメントを書かれています。

美智子さまから「おいしかったですよ」とお褒めのことばがあったことは、よほど思い出深かったのでしょう。「マンドルーラ」で復活したわけです。

カレーは上品な、白い陶製のカレーポットに出されます。いわゆる欧風カレーですが、「マンドルーラ」によると、肉、野菜、ライスとともに県産の素材が使われています。肉は松坂肉や地鶏、米はコシヒカリ、野菜も地元産。

ルゥのなかの具はほぼ肉のかけらだけですが、野菜が溶けこんでいてルゥは濃厚です。

味はというと、多くの人はひとくち食べて「甘いカレー」を想像するのではないでしょうか。「皇太子と美智子さまがお召しあがりになるカレーだから、辛すぎてお気に召されないのも問題だから、甘めの味にしたのだろう」となどと勝手に想像する人もいるかもしれません。

しかし、わりと量のあるカレーを食べ進めていくと、いつのまに「けっこうしっかりした辛さ」を覚えることに。食べるごとに、すこしずつの辛さが積みかさなっていき、しっかりした辛さになるのでしょう。「一年間の試行錯誤」というのも納得できる味です。

なお、美智子さまから「おいしかったですよ」と言われたカレーを再現したこのカレーの名は、「プリンスカレー」。「プリンセスカレー」ではありません。このあたりの名づけにも、おそらくは試行錯誤があっての結果なのでしょう。

津駅からはすこし歩きますが、県議会にほかの用はなくても、食べる価値ありのカレーです。
「マンドルーラ」の食べログ情報はこちら。
http://tabelog.com/mie/A2401/A240101/24009298/

参考資料
マンドルーラ
http://www.efujiya.co.jp/company/kissa.html
宮内庁「京都府ご訪問時のお泊まり所について(皇太子同妃両殿下時代)」
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/taio/pdf/kyoto-otomarijo.pdf
『女性自身』2015年8月31日付「欧風からタイカレーまで…天皇ご一家御用達カレー10」
http://jisin.jp/serial/社会スポーツ/imperial/12807
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