2015.03.24 Tuesday
道路の白線、「塗りたて注意」要らず
年度末の3月、街では交通量の少なくなる深夜に道路状態を新しくする作業がさかんにおこなわれています。
横断歩道の白線の引きなおしもそのひとつ。はげかかった白線の上に、新たな白線を引きなおすこともあるようですが、写真のようにいったんアスファルトを舗装しなおして白線をなくしてから、あらためて白線を引く場合もあるようです。
横断歩道を含め、道路の線には通行人や運転者の安全を守るための工夫がほどこされています。
道路上の白線には、ガラスを球状のつぶつぶにした「ガラスビーズ」という材料がふくまれています。ガスビーズには、あたった光をそのままの角度ではね返す特性があります。車の前照灯の光が横断歩道にあたると車のほうに光が反射するため、運転手が「あそこに横断歩道がある」と気づきやすくなっています。
横断歩道の模様は、1992年11月に「道路標識・区画線及び道路標示に関する命令」が改正されるまで、横の白線の両端に縦線が1本ずつ入った「はしご型」でした。しかし、この縦線があると、水はけが悪くなるためにとりはらわれ、いまの形になりました。はしご型よりも前、1960年までは、横の白線が横断歩道のまんなかでたがいちがいになった模様が採用されていました。
白線のラインを引く装置は「道路区画線施工機器」とか、略して「施工機」とかよばれます。写真のようにハンドルをもって線を引く施工機には、さらに手で押していく方式のものと、手で引いていく方式のものがあります。
建てものでは「ペンキぬりたて注意」の貼り紙が見られるように、塗装後はしばらく塗装材が乾くのを待たなければなりません。
いっぽう、道路上の白線は、線を引いた直後に、その上を人が足で踏んでも跡に残らないものがあります。塗装のはがれを防ぐ「プライマー」とよばれる材料を道路に吹き付けたあと、白い塗料を塗っていきます。
道路上の白線は、ガラスビーズのほか、樹脂、砂などの骨材、それに顔料などの原料からなる粉状の材料でできていて、これを釜に入れて熱してどろどろの液状にします。それを施工機で入れて線をひくとともに、施工機に載せたガスボンベで炎を吹きつけてすぐに乾かします。
まるで、白いテープを道路に貼りつけるように、つぎつぎと白線が塗られていき、横断歩道の完成となります。
「ライン屋」さんから、ひいた線はすぐに乾くことをご指摘いただきました。ご指摘ありがとうございました。(2016年5月2日)
参考資料
国土交通省東北地方整備局仙台河川国道事務所「区画線の豆知識」
http://www.thr.mlit.go.jp/sendai/furukoku/pdf/kouji/kouji/kukaku-mame.pdf
南日本新聞社 何でも質問隊 2007年1月23日掲載「横断歩道なぜしま模様なの」
http://373news.com/_nie/qa/2007/070123.php
ポッターズ・バロティーニ「路面標示塗料用ガラスビーズ」
http://www.pqj.co.jp/product/02.html
ダイア製品資料「手引きライナー」
http://www.daia-net.co.jp/pdf/line/KLD.pdf
3M製品資料「3M Scotch-Lane路面標示材」
http://multimedia.3m.com/mws/media/989258O/rfs-500.pdf