科学技術のアネクドート

<< 死者にノーベル賞が贈られることも | main | 「とにかく納期を守ろうとしました」 >>
無線送電構想、100年以上前にも
三菱重工業が、(2015年)3月12日(木)、無線送電技術の地上実験をおこない、長距離無線送電に成功したと発表しました。
送電側から10キロワットの電力をマイクロ波という電波で送り、500メートル離れた受電側がそれを受けとり、その電力の一部を使って発光ダイオードを光らせることができたということです。500メートルという距離も10キロワットという電力も日本記録のようです。
 
この実験のおもな目的は、宇宙太陽光発電施設をつくることにあります。宇宙空間に太陽光パネルを設置して発電し、その電力を無線で地球に送って地球の人びとが使うというもの。それ以前に、洋上風力発電の陸上への送電などに応用可能と三菱重工業は見ています。
 
無線送電の構想は、いまから110年以上前の19世紀末、すでにありました。
 
クロアチア生まれで米国で活動した電気工学者ニコラ・テスラ(1857-1943)が、無線によって電波を送るシステムを考えていたのです。テスラは、電線を使った交流電流方式の発明者でもあります。
 
テスラは1899年、米国コロラドスプリングスに研究所を建設し、巨大な電圧を発生させる「拡大送信機」を使って、地球が巨大な帯電体であることをまず証明しました。
 
この巨大な帯電体である地球を介して、無線で送電をするシステムをテスラは考えたのです。そのしくみは、地球と電離層のあいだで生じる極極超長波が反射する「シューマン共振」というしくみを利用するもの。1901年には、実業家J・P・モルガン(1837-1913)の支援を受けて、ロングアイランドのショアハムに57メートルの高さの「ウォーデンクリフ・タワー」という塔も建てています。
ウォーデンクリフ・タワー
 
しかし、好敵手だったイタリアの電気技術者グリエルモ・マルコーニ(1874-1937)がおなじ1901年に、大西洋を横断して無線通信に成功するなどして、テスラの計画は色あせていきました。計画変更や資金難などもあり、結局テスラの無線送電システムは実現しませんでした。
 
しかし、こうした構想の礎があったからこそ、無線送電の技術も現代に実現しているというもの。テスラは「わたしが心血を注いだ未来はわたしのものだ」という言葉を残しています。
 
参考資料
三菱重工業 2015年3月12日発行「宇宙太陽光発電システムの無線送電技術の地上実証試験に成功 新しい産業応用の可能性を広げる」
コモンポスト 2014年6月14日付「天才科学者ニコラ・テスラが構想した無線送電システム(世界システム)の実現プロジェクトが始動!!」
IT media 2009年11月29日付「ニコラ・テスラの『世界システム』はよみがえるか」
新戸雅章『知られざる天才 ニコラ・テスラ』
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/3437
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE