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大工道具は、縦挽き鋸、台鉋、指矩で進歩
家を建てるための数々の工具は大工道具とよばれています。日本で使われている大工道具の多くは、大陸から伝わってきました。おなじく大陸から伝わってきた仏教を布教するための寺院を建てる必要があったためです。

寺院建築に使われていた工具は、奈良時代になると上流貴族の家づくりなどにも使われるようになりました。また、平安時代には町家などにも使われるようになりました。

大工道具に大きな技術の進展があったのは、15世紀から16世紀にかけてです。

切る道具では、「縦びき鋸」とよばれる道具が使われだしました。「縦びき」とは、木材を繊維の目とおなじ方向に引くことです。縦びき鋸を使うことで、貴重だった板を多くつくることができるようになりました。これで、天井や壁にも板があてがわれるようになりました。ちなみに縦にき鋸は「大鋸(おが)」ともよばれ、挽いたとき出るくずは「大鋸屑(おがくず)」といいます。


縦挽き鋸で木を削る大工。葛飾北斎『富嶽三十六景 遠江山中』

削る道具にも進化がありました。台鉋(だいがんな)が使われるようになったのです。木の台に刃が付いたかたちの鉋で、いまも使われている大工道具です。縦びき鋸などで来られた材木を仕上げるのにとても有効でした。外国の鉋は押して削るのに対して、日本の鉋は引いて削ります。

19世紀、江戸幕府の大棟梁だった平内延臣(1791-1856)が、和算などを取り入れ、規矩術とよばれる計測術を確立しました。「規」はコンパスのことを指し、「矩」はさしがねのことを指します。

さしがねでは、表目には「1尺5寸7分」といった通常の目盛が刻まれているのに対して、裏目の外側には表目の目盛にルート2をかけた目盛が刻まれました。これで、正方形1辺の長さの対角方向の長さを目盛を一目するだけで把握できるようになりました。この目盛は「角目」といいます。

また裏目の内側には表目の目盛に円周率の3.14をかけた目盛が刻まれていました。円の直径を見れば円周の長さを目盛を一目するだけで把握できるようになりました。こちらの目盛は「丸目」といいます。

いまでは、大工道具にも電動のこぎりなどの機械的なものが増え、現代化しています。しかし、鋸で木を切ったり、鉋で木を削ったり、さしがねで寸法を測ったりとうい技術は、いまも大工が基本として身に付けている技術です。

参考資料
稲葉和也・中山繁信『日本人のすまい』
http://www.amazon.co.jp/dp/4395270212
ひとかえ大きな木「日本建築の架構」
http://chounamoul.exblog.jp/9937620/
ウィキペディア「規矩術」
http://ja.wikipedia.org/wiki/規矩術
松岡正剛の千夜千冊「松村貞次郎 大工道具の歴史」
http://1000ya.isis.ne.jp/0379.html
大阪府教育センター「さしがね」
http://www.osaka-c.ed.jp/ed/h18/dougu/1hakaru/p1_1_3.html
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