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ノーベル賞受賞物理学者の疑問、解決される。


物理学者で、1965年に日本の朝永振一郎らとノーベル賞を受賞した故リチャード・ファインマンは、食卓でこんなことを疑問に思ったそうです。

「なぜ、スパゲティの乾麺が折れるとき、かけらは2つにならないのだろうか?」

トップ画像のように、テーブルの隅にスパゲティの乾麺の端を抑えて、もう片方の端をしならせていきます。するとファインマンの言うとおり、スパゲティの乾麺は折れても2つのかけらにはならず、ほとんどの場合3つ以上のかけらになります。

このファインマンの疑問を2005年に解いたのが、フランスのピエール・マリー・キューリー大学の物理学者バジル・オードリー博士とセバスチャン・ヌーキルシュ博士です。

ふたりは、投石機の棒の部分をスパゲティの乾麺にした、“カタパルト実験”を行い、そのメカニズムを解明しました。

スパゲティの乾麺が折れたとき、“折れ”の衝撃が麺を走ります。衝撃は、折れた部分から端の部分へと伝わっていきます。すると、その衝撃波が麺の曲がり具合をさらに高めるらしいのです。それにより、2番目の“折れ”が生じるとのこと。

実験からは、次のような公式も導き出されました。

「スパゲッティが二つの部分で折れるとき、最初の“折れ”の瞬間を「時間0」とし、次の“折れ”の瞬間を「時間1」とすると、折れの長さは「(時間1)−(時間0)」の時間差の平方根に比例して大きくなる」

このオードリー博士とセバスチャン博士の研究成果には、「乾燥スパゲティを曲げると、よく、2つ以上の部分に折れてしまうのはなぜか」を解明した理由で、先日10月5日に発表されたノーベル賞のパロディ版「イグ・ノーベル賞」2006年度物理学賞が贈られることとなりました。

「イグ・ノーベル賞」(Ig Nobel Prize)は、「つまらない」(ignoble)をもじったもの。ふたりの博士の研究は、イグ・ノーベル賞級とはいえ、ファインマンはじめ、様々な科学者たちが疑問に思っていた難題。いま生きていれば、ファインマンも膝を打っていたことでしょう。

wikipediaによる「イグノーベル賞」の説明はこちら。
http://ja.wikipedia.org/wiki/イグノーベル賞

CNNによる今年の受賞リストはこちら(日本語です)。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200610060022.html
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